アメリカの畜産業界が、生後30か月以上の牛肉の輸入を禁じてきた韓国の検疫規定は不公正貿易だとして、韓国に対しアメリカ産牛肉の月齢制限を撤廃させるようトランプ政権に求めたことに対し、畜産農家の団体が、「国民の健康を脅かす恐れがあるため、要求を受け入れてはならない」として強く反発しました。
韓国は2008年、アメリカ産牛肉の牛の病気、BSEの懸念が広がったことを受けて、生後30か月以上のアメリカ産牛肉の輸入を禁じていて、これがアメリカ産牛肉への不安の解消につながったとみられています。
韓国は現在、アメリカ産牛肉の最大の輸入国になり、韓国が輸入する牛肉の半分近くがアメリカ産となっています。
韓米FTA=自由貿易協定にもとづき、アメリカ産牛肉にかかる関税率は現在2.6%ですが、来年は0%となり、輸入はさらに増加する見込みです。
韓国在来種の牛の畜産農家などでつくる全国韓牛協会は、「月齢制限が撤廃されれば、国民の健康が脅かされる恐れがあるため、要求を受け入れてはならない」と反発しています。
また、月齢制限が撤廃されれば、アメリカ産牛肉への消費者の不安が高まり、アメリカ産だけでなく、韓国産牛肉にまで消費減少の影響が及ぶと主張しています。
これに対して韓国農林畜産食品部は、「毎年繰り返されるアメリカの畜産業界の要求であるため、いまのところこれといった対応は検討していないが、状況を注意深く見守っている」とコメントしました。
一方、人体に悪影響を与える恐れがあるとして、輸入や栽培が禁じられている、種子や苗を含む、LMO=遺伝子組換え技術で作られた農作物についても、今後アメリカが受け入れを要求する可能性があるという見方が出ています。
アメリカ通商代表部が毎年、外国貿易障壁報告書を通じて、問題視してきた、ブルーベリー、リンゴ、チェリーなどの農産物についても開放を迫る可能性があり、韓国の農家の懸念が深まっています。