洪楠基(ホン・ナムギ)副総理兼企画財政部長官は3日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に辞表を提出しましたが、受理されなかったことが明らかになりました。
洪副総理は、ことし春に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて全国民に支給された災害支援金の支給対象や株式の譲渡所得税が課せられる大株主の基準をめぐり、与党「共に民主党」と意見が対立してきたことが、辞表を提出した背景とみられています。
災害支援金については、洪副総理は貧困層への支給を主張し、全国民への支給を主張した与党「共に民主党」と対立しましたが、結局は、全国民への支給と決まりました。
また、洪副総理は、2017年に改正された「所得税法の施行令」に基づいて株式の譲渡所得税が課せられる大株主の基準を来年から現行の10億ウォンから3億ウォンへの引き下げを実施する方針を示していました。
しかし、共に民主党は、2023年から株式の譲渡差額に対する課税が全面的に行われるため、その前に基準を変えることで市場に不要な衝撃を与えてしまう可能性や、個人投資家たちの反発などを踏まえ、大株主の基準の引き下げを2年後に猶予するよう求めていました。
韓国では、大株主でない場合、株式の譲渡差額によって生じる譲渡所得税は免除されますが、大株主になると株式の売買によって生じる譲渡所得税を支払わなければなりません。
そのため、大株主の基準が10億ウォンから3億ウォンに引き下がると、多くの個人投資家が譲渡所得税を負担しなければならないため、反発を受けていました。
洪副総理は、この日午後開かれた企画財政委員会の全体会議で、「大株主の基準を現行の10億ウォンに維持する方針が決まった」としたうえで、「この問題と関連し、2か月間議論が続いたことへの責任ある態度を示す必要があると考え、辞表を提出した」と述べました。
これについて、大統領府青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官は、「洪副総理が閣議終了直後に文大統領に辞意を表明したが、大統領は受理せず再び信任した」と明らかにしました。
辞表が受理されなかったのを受けて、洪副総理は、「文大統領の意向に従って、職務を遂行する」と述べました。
★2020年11月9日修正