日本政府は、福島第一原子力発電所で貯まるトリチウムを含む汚染処理水の海洋放出に反対する韓国の大学生らが日本大使館前で行っているデモについて、強制排除などの「適切な対応」を韓国政府に要請したと明らかにしました。
加藤勝信官房長官は19日午後の記者会見で、韓国の大学生らが韓国駐在日本大使館が入ったビルの前の路上で、汚染処理水の海洋放出決定に抗議するデモを行っていることについて「韓国政府や現地の警察当局に対し、座り込みデモの排除を要請するとともに、警備態勢の強化を申し入れ、適切な対応を要請している」と述べました。
韓国大学生進歩連合などで構成された学生団体は、汚染処理水の海洋放出を阻止するための無期限の座り込みデモを行うと16日、宣布しました。
この団体はデモ3日目の18日、「汚染水の無断放出は命と安全を脅かす深刻な事件だ」として、日本政府に対して海洋放出決定の撤回を求めました。
一方、加藤官房長官はこの日の会見で、韓国の原発でもトリチウムを含む廃水を放出している点に触れながら「韓国を含む世界中の原子力施設においても、各国の規制基準に沿ってトリチウムを含む液体廃棄物を放出しており、その周辺でトリチウムが原因と考えられる影響は見られていない」とも説明しました。
加藤官房長官はまた、2018年度に韓国の原発から海洋放出されたトリチウムを含む廃水の量は202兆ベクレルで、同じ年に日本が放出した110兆ベクレルの約2倍だったことも指摘しました。