文大統領が指名した長官候補3人の人事案をめぐって、与野党の対立が続いています。
野党は長官候補3人の任命に反対し、これが受け入れられない場合、国務総理に指名された金富謙(キム・ブギョム)氏の任命も拒否するとしています。
こうしたなか、与野党の院内代表は11日、国会議長の主宰で会合しましたが、議論は平行線をたどりました。
与党「共に民主党」は、国務総理のポストをこれ以上、空席にしてはならないとして、人事案の同意の手続きを早急に終えるよう求めました。
これに対して、最大野党「国民の力」は、与野党の間の対話と妥協を取り戻さなければならないとして、投票によって同意の手続きを終えることに反対する姿勢を明確にしました。
「国民の力」は、国務総理人事案の同意の手続きを終えるのと引き換えに、科学技術部長官候補の林恵淑(イム・へスク)氏、海洋水産部長官候補の朴俊泳(パク・ジュンヨン)氏、国土交通部長官候補の盧炯旭(ノ・ヒョンウク)氏3人の指名撤回を求めています。
この3人については、国費支援を受けた海外の学術行事への出張に家族連れで参加したことや、国家公務員宿舎を利用することで経済的利益を得たこと、配偶者が営利目的での密輸に関わったことなど様々な疑惑が浮上し、批判の声が高まっています。
これについて、文大統領は就任から4年に合わせて10日に行った記者会見で、「その人物を抜擢した趣旨や能力などとともに問題点を検証しなければならないが、韓国の人事聴聞会は、能力はさておき、あらさがしだけをしている」として人事聴聞制度を問題視しました。
長官候補に関する人事聴聞報告書の採択期限が10日までだったことから、大統領府青瓦台が任命手続きを続けるためには、国会に報告書の送付を再び要請しなければなりませんが、いまのところ、与野党の交渉経過や世論の流れを見守っているとみられます。