北韓がことし7月に軍事境界線を越えて北韓側に入ったアメリカ軍の兵士を追放し、アメリカはこの兵士の身柄を引き受け、本国に移送しているもようです。
北韓の朝鮮中央通信が27日、報じたところによりますと、アメリカ軍の兵士、トラビス・キング2等兵について調査した結果、北韓国内に不法侵入したことがわかったため、追放することに決めたということです。
キング2等兵が軍事境界線を越えて北韓側に入ってから71日ぶりの解放となりました。
キング2等兵は、韓国駐留アメリカ軍にいた際、韓国国内で暴行の疑いで訴追され、韓国の拘置施設に2か月間収容されていました。
その後、懲戒処分を受けるためアメリカに移送される予定でしたが、移送中の7月17日に仁川(インチョン)国際空港で逃走し、翌日の18日には板門店(パンムンジョム)の軍事境界線を越えて北韓側に渡っていました。
アメリカ当局によりますと、北韓から追放されたキング2等兵は28日、中国丹東と韓国中部の烏山(オサン)アメリカ軍基地を経由してアメリカに移動していて、健康状態は良好だということです。
アメリカ政府はこれまで、キング2等兵の解放に向け、国連、国連軍司令部、北韓と外交関係を結んでいる国々を通じて、北韓側に働きかけを続けてきました。
アメリカ政府の高官によりますと、なかでも、北韓に大使館を置くスウェーデンが「重要な仲裁者」の役割を果たしたということです。
また、別の高官は、「北韓が条件なしにキング2等兵を解放してくれたことに大変感謝する」と話しました。
しかし、キング氏の追放をきっかけに米朝の対話が再開されるかについては、「外交の可能性は依然として開かれている」というこれまで通りのコメントに留まっています。