北韓の朝鮮中央通信は、労働党機関紙の記事を引用して、北韓が核融合実験に自力で成功したと伝えました。
それによりますと、北韓労働党の機関紙、「労働新聞」は、12日、「北韓の科学者は、あらゆる技術的問題を解決し、核融合反応実験を成功させた。この過程で、我々は独自の核反応装置を設計、製作し、核融合反応に関する基礎研究も済ませている。核融合に成功したことで、新たなエネルギーの開発のための道を開いた」と報道したということです。
核融合技術は、ウランやプルトニウムを利用した核兵器よりさらに強力な水素爆弾を製造する技術につながるため、注目されています。
これに対して韓国の核専門家らは、「核融合を行うためには、極めて高い圧力と温度をコントロールできる設備が必要だ。ウランやプルトニウムを使った核爆弾が爆発する際に発生する高温と高圧を利用して水素原子の融合に成功した事例はあるが、実験室で成功させることはほぼ不可能だ」と指摘しています。
そして、北韓が2009年5月以後に追加的な核実験を行っていないことから、「労働新聞」が伝えるように北韓が核融合反応の実験に成功したとみることは難しいとしています。
これについて科学技術政策研究院のイ・チュングン博士は「北韓はすでに2000年代初めから実験室での核融合を研究していることが知られている。しかし、核融合は実験室内での成功が難しく、融合に成功したと主張された事例は、いずれも検証過程で核融合反応として認められていない」と説明しています。