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北韓の人権侵害を非難し改善を促す国連の人権決議案が採択されました。
国連人権理事会は、スイス・ジュネーブで現地時間の23日に行われた総会で、北韓の人権侵害を非難し改善を促す人権決議案を、表決ではなく議場の総意によるコンセンサス方式で採択しました。
北韓の人権決議案は、2003年に初めて採択されてから今年で19年連続の採択となります。
今回の決議には、韓国戦争時に北韓軍に捉われた韓国軍捕虜やその子孫への人権侵害に関する内容が初めて盛り込まれました。韓国戦争後に北韓に残された韓国軍捕虜はおよそ5万人で、2014年時点でおよそ500人の生存が確認されています。北韓人権市民連合が先月発表した報告書によりますと、 韓国軍捕虜とその子孫は、各地の炭鉱で強制労働を強いられてきたということです。
決議では、 韓国軍捕虜問題など、北韓の人権侵害問題を解決するためには、国際社会の努力に加え、南北間の対話と協力が必要であると強調しています。
また、北韓が、新型コロナウイルス感染防止を理由に、国境付近で過度な武力行為を行っていることを批判しました。
去年、軍事境界線付近の海上で、韓国の公務員男性が北韓軍に射殺された事件が背景にあるとみられます。
一方、韓国政府は、採択には賛同を示しましたが、一昨年と去年に続いて、ことしも共同提案国には名を連ねませんでした。
文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから3年連続で共同提案国から外れたことになります。
外交部は、共同提案国に参加しない理由について、「色々な状況を総合的に考慮し、決定した」としただけで、詳しく説明しませんでした。
韓国は2009年以降、北韓人権決議案の共同提案国に参加してきましたが、2019年からは「韓半島情勢など諸般の状況を考慮するため」という理由で、共同提案国に名を連ねておらず、決議案が最終的に採択された場合に、これに賛同する形で参加しています。