1980年5月18日の光州(クァンジュ)民主化運動当時、崔圭夏(チェ・ギュハ)元大統領に実権はなく、1979年12月12日にクーデターを主導した当時、保安司令官の全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が権力を握っていたとするアメリカ政府の文書が公開されました。
アメリカ国務省は2日、外交部に対して5.18民主化運動に関する外交文書14件を譲渡しました。
このなかには当時の韓国駐在アメリカ大使館が非常戒厳令が全国に拡大した直後の1980年5月17日、「ソウルでの弾圧」と題して本国に打った電報の文書も含まれています。
この文書には、全元大統領について「中心的な役割を果たしたものとみられる」と書かれていて、アメリカ大使館が当時、少将に過ぎなかった全元大統領が実権を握っていると判断していたことがわかります。
一方、崔圭夏(チェ・ギュハ)元大統領については、戒厳令の拡大措置と関連して「無力な大統領」と表現しているほか、別の文書では、当時の周永福(チュ・ヨンボク)国防部長官についても権力がないことを明らかにしています。
これらの文書の公開は、5.18民主化運動に対する弾圧の真相究明には、アメリカ政府の機密文書が必要だとする市民団体や学界の意見を受け入れ、政府がアメリカ政府に公開を要請したことで実現しました。
政府はアメリカ政府に対して合わせて80件の文書の公開を要求し、去年の43件に続き、今回14件が公開されました。
しかし、今回公開された文書にも5.18民主化運動当時、光州で市民に対する発砲命令を下した責任者や指揮体系に関する内容は含まれていませんでした。
このような内容は、アメリカ国務省ではなく、国防総省や韓米連合司令部などの軍機関に保管されている可能性があり、アメリカがまだ23件の文書を公開していないのは、政治的に波及力の大きい内容が含まれているためだとする見方も出ています。
5.18民主化運動の真相調査委員会の関係者は「アメリカ政府がより前向きな態度を示せば、残りの23件の文書も公開されるものと思われる」と語っています。