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北韓の核

ミサイル能力

ミサイルとは?

ロケットまたはジェットエンジンのような推進装置を備え、遠隔操作、または自律飛行によって目標を攻撃する兵器。一般的に飛行中に進路を修正し、目標を攻撃できる装置を利用した誘導ミサイルを指す。誘導システムは大きく遠隔操作と自律統制の2種類に分けられる。ミサイルは推進機関、誘導装置、安定操縦装置、炸薬または信管などを組み込んだ弾体で構成されている。射程距離1000~5500キロのものを中距離ミサイル、500~1000キロのものを短距離ミサイルに分類する。

ミサイルは武器、爆弾などを目標まで飛ばすための飛行装置で、正確に目標に到達できる能力、目標が動いている場合は、目標を追跡できるような能力を備えていなければならない。そのため核兵器を論ずるとき、核爆弾を目標地点まで飛ばすためのミサイルの性能について論じないわけにはいかない。どんなに爆発力が大きい核爆弾も、目標地点まで飛ばすためのミサイルがなければ意味がない。そのため核兵器とは核弾頭を装着したミサイルを意味する。

ミサイルは局地戦で使用される射程距離が短いものから、地球の反対側まで攻撃できる大陸間弾道弾まで、さまざまな種類がある。発射台も基地に固定されたものもあれば、鉄道やトラック、航空機、艦艇、潜水艦に装着して移動できるものもあり、人が携帯して移動できる小型ミサイルもある。核兵器関連の北韓のミサイルについて話すときは、戦略兵器級、中でも弾道ミサイルについて触れることになる。

北韓のミサイル開発

北韓は1969年ごろ、旧ソ連から射程距離60キロの地対地ミサイルFROGを導入し、ミサイルの開発に着手した。しかし、本格的なミサイル開発は、1976年ごろに始まったと推定されている。1973年の第4次中東戦争で北韓はエジプトを支援し、その代価として旧ソ連製のスカッドB型ミサイルと発射台を導入し、これを逆設計する方法で本格的にミサイルの開発をスタートさせた。そのため北韓のミサイルはこのスカッドミサイルを土台としており、射程距離を伸ばしたスカッドC型ミサイル、中距離弾道ミサイル「ノドン」、多段階ロケット推進方式の中距離弾道ミサイル「テポドン」などを相次いで開発した。

これで北韓は2000年代に入ってアメリカ本土を射程内に収める長距離弾道ミサイルを保有したものと推定された。

2012年4月、北韓は人工衛星「光明星3号」を地球の軌道に載せるためとして長距離ロケット「銀河3号」に乗せて打ち上げたが失敗に終わり、12月の打ち上げで成功した。これで北韓は大陸間弾道ミサイル技術を完成させたものとみられる。

北韓のミサイル開発日誌<資料:韓国の2006国防白書>

  • 2012 : 04.13
    長距離ロケット「銀河3号」打ち上げ、軌道進入に失敗 (北韓は「銀河3号」について、打ち上げを前に外国記者団に公開。大陸間弾道ミサイルの試験発射という国際社会からの非難を免れるう狙いがあったとみられる)
    12.12
    北韓、「銀河3号」ロケット発射に成功
  • 2006.7 : 「テポドン2号」試験発射。ノドン、スカッドも発射。
  • 1998.8 : 「テポドン1号」試験発射。(北韓は人工衛星を打ち上げたと主張)
  • 1998 : 「ノドン」作戦配置。
  • 1994.1 : 「テポドン1号」の存在を確認
  • 1993.5 : 「ノドン」ミサイル試験発射。
  • 1991.6 : スカッドC型ミサイル発射。
  • 1990.5 : 「ノドン」試験発射。
  • 1988 : スカッドB型、C型ミサイル作戦配置。
  • 1986.5 : スカッドC型ミサイル試験発射。
  • 1984.4 : スカッドB型ミサイル試験発射。
  • 1976-81 : ソ連製スカッドB型ミサイルと発射台をエジプトから導入し、逆設計する方法でミサイル開発。
  • 1970年代初め : 中国のミサイル開発計画に参加してミサイル技術を習得。(推定)