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南北首脳会談

2007

2007南北首脳会談 推進過程

2007南北首脳会談 推進過程

2007年の南北首脳会談は10・4南北共同宣言を発表して幕を下ろした。 今回の南北首脳会談は、当初8月末に予定されていたが、北韓が大規模な水害に見舞われたことから、延期して実現した。 会談の過程では北韓側が突然日程を延長しようと提案して一時は緊迫が高まったが、無事共同宣言を発表することができた。 2000年6月に分断後初めて首脳会談が開かれて以来、7年ぶりの首脳会談だった。 2回目の首脳会談が開かれるまでに7年もかかったのはいろいろな理由があるが、2000年6月の南北共同宣言に、金正日国防委員長がソウルを訪問すると明記されていたことも理由の一つだった。 韓国側は金正日国防委員長のソウル訪問に執着せず、再び韓国の大統領が平壌を訪問することにし、2回目の首脳会談を実現させた。

南北首脳会談推進日誌

2007年7月
7月初め 韓国政府、北韓に対して首脳会談のための高官級協議を提案。
29日 北韓、韓国の金萬福(キム・マンボク)国家情報院長を招待。
2007年8月
2007年8月
2~3日 金満福国家情報院長、大統領特使として平壌訪問。 北韓側は8月末に平壌で首脳会談を開催することを提案。
4~5日 金満福国家情報院長、2回目の平壌訪問。首脳会談開催に合意。
8日 韓国政府、南北首脳会談を8月28日から30日まで開くと発表。
14日 実務協議を通じて、盧武鉉大統領が陸路で北韓を訪問することや訪朝団の規模などについて合意。
18日 韓国政府、北韓が水害に見舞われたため首脳会談を10月2日からに延期すると発表。
2007年9月
2007年9月
18日 政府の第1次先遣隊訪朝。
27日 第2次先遣隊訪朝

2007年10月
2~4日 2007南北首脳会談開催

<ソウル出発から南北共同宣言署名まで>

2007年10月2日
2007年10月2日
07:46 盧武鉉大統領、出発に先立って国民向け談話発表
07:55 専用車で大統領府青瓦台出発
09:05 歩いて軍事境界線を通過(北韓関係者の出迎え)
11:40 平壌人民文化宮殿に到着 金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長出迎え
12:00 4・25文化会館に到着 金正日国防委員長が出迎え、儀仗隊の閲兵など歓迎式
12:21 迎賓館の百花園に到着
16:00 金永南最高人民会議常任委員長と面談(万壽台議事堂)
19:00 金永南常任委員長主催の歓迎晩餐会
2007年10月3日
2007年10月3日
09:34 ~ 11:45 第1回首脳会談
14:45 ~ 16:25 第2回首脳会談(金正日国防委員長、日程を1日延長するよう提案したが結局は撤回)
20:00 ~ 21:30 大規模マスゲームの『アリラン』観覧(綾羅島5・1競技場)
22:10 盧武鉉大統領主催の晩餐会(迎賓館百花園/金正日国防委員長出席せず/金満福国家情報院長は宣言文内容を北韓側関係者と調整するため出席せず)
2007年10月4日
2007年10月4日
08:50 平和自動車工場視察
09:45 西海閘門視察
13:00 10・4南北共同宣言に署名及び歓送午餐会(迎賓館百花園)
16:50 歓送式(人民文化宮殿)
19:30 開城工業団地訪問
21:00 訪朝団、都羅山出入事務所に到着 盧武鉉大統領、国民向け帰国談話発表

2007南北首脳会談の成果

盧武鉉大統領と金正日国防委員長は2007年10月4日、『南北関係発展と平和繁栄のための宣言(10・4南北共同宣言)』に署名した。 10・4南北共同宣言は8項目と二つの別項からなっている。

8項目

2007年10月4日
6・15南北共同宣言の具現 - 統一問題の自主的解決
- 6・15共同宣言履行に向けて努力及び6・15共同宣言を記念するための方法を検討
南北相互尊重及び信頼関係への転換 - 南北相互の内政不干渉
- 南北関係の統一志向的発展のための法律や制度の整
備 - 議会など各分野の対話と交流を積極的に推進
軍事的緊張緩和 - 軍事的敵対関係の終息と韓半島の緊張緩和及び平和保障のために緊密に協力
- 戦争反対及び不可侵義務の遵守
- 黄海共同漁労水域の指定及び平和水域への転換それに必要な軍事的信頼関係を構築するため11月中に南北国防相会談を平壌で開催
停戦体制の終息及び恒久的平和体制の構築 - 終戦宣言のための3者または4者による首脳会談推進
- 核問題解決のために6カ国協議の9・19共同声明、2・13合意の履行に向けて努力
経済協力 - 民族経済の均衡発展と共同繁栄のための経済協力事業を共利共栄(共同利益と共同繁栄)と有無相通(一方にあって他方にないものを互いに融通し合う)の原則にもとづいて積極的に活性化、持続的に拡大発展させる
- 投資奨励、基盤施設拡充、資源開発を積極的に進め、相互に特恵を与える
- 海州地域及び周辺海域に『西海平和協力特別地帯』を設置共同漁労区域と平和水域設定、経済特区建設と海州港を活用して民間船舶の直航路開設、漢江河口の共同利用を積極的に推進
- 開城工業団地第2段階開発に着手
- ムンサン-ボンドン間の鉄道貨物の輸送開始
- 通行、通信、通関問題など、制度的保障措置を速やかに整備
- 開城-新義州間の鉄道及び開城-平壌間の高速道路の改修と補修問題について協議
- 安辺(アンビョン)と南浦(ナムポ)に造船協力団地を建設
- 農業、保健医療、環境保護など、多様な分野で協力事業を推進
- 南北経済協力推進委員会を副総理級の南北経済協力共同委員会に格上げ
社会文化分野の交流と協力 - 歴史、言語、教育、科学技術、文化芸術、スポーツなど、 社会文化分野の交流と協力を発展させる
- 白頭山観光実施及び白頭山-ソウル間の航空路開設
- 2008北京オリンピック、南北共同応援団が南北縦断鉄道の京義線鉄道に乗って北京に向かう
人道主義協力事業 - 離散家族再会の拡大及び映像での手紙の交換事業推進
- 金剛山面会所完成後、双方の代表を常駐させ、随時再会を推進
- 自然災害など災難の際に積極的に協力して対応する
国際舞台での協力強化 - 民族の利益及び海外同胞の権利と利益のために協力強化

別項

ㆍ第1回南北総理会談、11月中にソウルで開催する
ㆍ南北関係発展のために双方の首脳が随時協議する

10・4南北共同宣言全文

南北関係発展と平和繁栄のための宣言

大韓民国の盧武鉉大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日国防委員長の合意にもとづいて、盧武鉉大統領は2007年10月2日から4日まで平壌を訪問した。
訪問期間中歴史的な出会いと会談が実現した。
出会いと会談では6・15共同宣言の精神を再確認し、南北関係発展と韓半島の平和、民族共同の繁栄と統一を実現するための諸般の問題について虚心坦懐に協議した。
双方は我が民族同士の意志と力を合わせれば、民族繁栄の時代、自主統一の新しい時代を開くことができるという確信を表明しながら、6・15共同宣言にもとづいて南北関係を拡大、発展させていくために次のように宣言する。

1. 南北は6・15共同宣言を固く守り、積極的に具現していく。
南北は我が民族同士の精神にもとづいて統一問題を自主的に解決していき、民族の尊厳と利益を重視し、すべてのことをこうした考えにもとづいて実施していくことにした。
南北は6・15共同宣言を一貫して履行していく意志を反映して、6月15日を記念する方法を検討することにした。

2. 南北は思想と制度の違いを乗り越え、南北関係を相互尊重と信頼の関係に確固として転換させていくことにした。
南北はともに内部問題に干渉せず、南北関係に関する問題は和解と協力、統一の精神に符合する方向で解決していくことにした。
南北は南北関係を統一志向的に発展させるために、それぞれ法律的、制度的装置を整備していくことにした。
南北は南北関係拡大と発展のための問題を民族の念願に沿った方向で解決するために、双方の議会など、各分野の対話と接触を積極的に推進していくことにした。

3. 南北は軍事的敵対関係を終息させ、韓半島での緊張緩和と平和を保障するために、緊密に協力していくことにした。
南北は互いに敵対視せず、軍事的緊張を緩和し、紛争問題を対話と協議を通じて解決することにした。
南北は韓半島でのいかなる戦争にも反対し、不可侵義務を確固として遵守することにした。
南北は西海での偶発的衝突防止のため共同漁労水域を指定し、この水域を平和水域にするための方法と、各種の協力事業に対する軍事的保障措置問題など、軍事的信頼構築措置について協議するため、南の国防部長官と北の人民武力部部長の会談を今年11月中に平壌で開催することにした。

4. 南北は現在の停戦体制を終息させ、恒久的な平和体制構築に向かっていくべきだという認識で一致し、直接関連した3者または4者の首脳が韓半島地域で会い、終戦を宣言することを推進するために協力していくことにした。
南北は韓半島の核問題を解決するために6カ国協議、9・19共同声明と2・13合意が順調に履行されるよう共同で努力することにした。

5. 南北は民族経済の均衡発展と共同繁栄のために経済協力事業を共利共栄と有無相通の原則にもとづいて積極的に活性化し、持続的に拡大発展させていくことにした。
南北は経済協力のための投資を奨励し、基盤施設の拡充と資源開発を積極的に進め、民族内の協力事業の特殊性を考慮して各種の優待条件と特恵を優先的に与えることにした。
南北は海州地域と周辺海域を包括する『西海平和協力地帯』を設置し、共同漁労区域と平和水域の設定、経済特区建設と海州港の活用、民間船舶の海州直航路通過、漢江河口の共同利用などを積極的に推進していくことにした。
南北は開城工業団地第1段階の建設をできるだけ早い時期に完成させ、第2段階の開発に着手するとともに、ムンサン-ボンドン間の鉄道貨物の輸送を開始し、通行、通信、通関の問題をはじめとする諸般の制度的保障措置を速やかに完備していくことにした。
南北は開城-新義州間の鉄道と開城-平壌間の高速道路を共同で利用するため、改修及び補修問題を協議、推進していくことにした。
南北は安辺と南浦に造船協力団地を建設し、農業、保健医療、環境保護など、多様な分野の協力事業を進めていくことにした。
南北は南北経済協力事業を円滑に推進するため、現在の「南北経済協力推進委員会」を、副総理級の「南北経済協力共同委員会」に格上げすることにした。

6. 南北は民族の悠久な歴史と優秀な文化を輝かせるため、歴史、言語、教育、科学技術、文化芸術、スポーツなど、社会文化分野の交流と協力を発展させていくことにした。
南北は白頭山観光を実施することにし、そのために白頭山-ソウル間の直航路を開設することにした。
南北は2008年北京オリンピックに南北の応援団が京義線列車を利用して参加することにした。

7. 南北は人道主義協力事業を積極的に推進していくことにした。
南北は離散家族や親戚の再会を拡大し、映像手紙交換事業を推進することにした。
そのため金剛山面会所が完成した際には双方の代表を常駐させ、離散家族と親戚の再会を常時進めることにした。
南北は自然災害をはじめとする災難が発生した場合、助け合いの原則にのっとって積極的に協力していくことにした。

8. 南北は国際舞台で民族の利益及び海外同胞の権利と利益のために協力を強化していくことにした。
南北はこの宣言を履行するため南北総理会談を開催することにし、第1回会議を今年11月中にソウルで開くことにした。
南北は南北関係発展のために首脳が随時会って、懸案問題を協議することにした。

2007年10月4日
平壌

 大 韓 民 国
大統領

盧 武 鉉

朝鮮民主主義人民共和国
国防委員長

金 正 日