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北韓ビラ散布禁止法めぐり米議会で公聴会

今週のキーワード2021-04-24

ⓒYONHAP News

北韓に向けて体制を批判するビラを飛ばすことなどを禁じた韓国の法律について、アメリカ議会で公聴会が開かれ、関連法の改正を求める声が出ました。

韓国では、脱北者や人権活動家などによる市民団体が北韓に向けて体制批判のビラを載せた風船を飛ばす活動を行ってきました。

アメリカ議会下院の超党派による「トム・ラントス人権委員会」は15日、韓国で北韓向けのビラ散布を禁じる法律が成立したことについて、オンラインで公聴会を開きました。

北韓向けのビラ散布を禁じる韓国の法律について、表現の自由が損なわれているとの批判が出ていることを受けて、共和党のクリス・スミス下院議員が主導して開かれた公聴会には、元外交官や人権団体の関係者らが出席しました。

公聴会では、ビラ散布を禁じる韓国の法律の趣旨に賛同する意見も出ましたが、表現の自由が損なわれるとする懸念や見直しを求める意見が多く出されました。

スミス議員は、「公聴会は韓国の政治に介入するために用意されたのではない」としながらも、表現の自由を制約する法律が成立したのは、北韓の人権の改善を求めて活動する市民団体への嫌がらせだと批判しました。

また、人権委員会の共同議長を務める民主党のジム・マクガバン下院議員は、個人的な意見だとしながら、「可能なら、韓国国会がこの法律の修正を決定することを希望する」と述べました。

アメリカ議会の公聴会で韓国の人権問題が扱われるのはこれが初めてで、ビラ散布を禁じる韓国の法律についてアメリカ国内で批判的な世論が高まっていることが背景にあります。

韓国政府は、北韓に向けて体制を批判するビラを飛ばすことは北韓の武力挑発を誘発する恐れがあり、休戦ライン付近の住民の安全を確保するためにビラ散布を制限する必要があるとしていますが、アメリカ国内では、北韓への情報の流入を遮断し、表現の自由が損なわれることにつながっているという批判が多くを占めています。

アメリカ国務省も、韓国は独立した司法をもつ民主主義国家で、ビラ散布禁止法を見直すことができる仕組みも備わっているとして、この法律を見直すべきだとする立場を示しました。

ビラ散布禁止法については、韓国国内でも意見が分かれています。

ビラ散布禁止法に反対する人たちは、文在寅政権が北韓に配慮するあまり、ビラ散布禁止法で表現の自由を制約し、市民団体を弾圧していると批判しています。

一方、ビラ散布禁止法に賛成する人たちは、韓国領土からビラが散布された場合は予告なしに軍事攻撃を行うと北韓が警告したことを指摘し、休戦ライン付近の住民の安全を確保するためにもビラ散布を制限する必要があるとしています。

バイデン政権は人権や環境重視の姿勢を強調していて、今後ともアメリカ国内ではビラ散布禁止法に対する批判が続くとみられます。

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