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民間団体が北韓への人道支援を検討

今週のキーワード2021-08-07

ⓒKBS News

韓国の民間団体が北韓住民に対する人道支援を行う方針を明らかにし、今後の動きが注目されています。

企業家で構成する民間団体、南北経済協力活性化推進委員会は4日、北韓住民への人道支援を進める方針を発表しました。

人道支援には、南北経済協力活性化推進委員会のほか、民間南北経済交流協議会、南北経済協力研究所、金剛山投資企業協会、南北経済協力経済人連合会などの民間団体が加わるということです。

韓国統一部は、民間団体による人道支援に、南北協力基金から100億ウォン、およそ9億6000万円を拠出する方向で検討を進めているということです。

統一部は、支援物資の具体的な輸送計画、北韓国内での支援物資の公平な分配の確認など、要件を満たした民間団体に南北協力基金から必要な資金を支給する方針です。

ただ、北韓は最近、外国からの人道支援を拒否していて、北韓が韓国の民間団体による支援物資を受け取るかどうかは分かりません。

また、北韓が支援物資を受け取るにしても、北韓国内での支援物資の公平な分配の確認に北韓が応じるとは限らず、実際に支援が行われるかは未知数です。

北韓は昨年、台風などの自然災害で食糧不足に陥り、韓国政府は国連世界食糧計画を通じて北韓にコメ5万トンを支援することにしましたが、北韓は受け取りを拒否しました。

金正恩委員長はことし1月の労働党大会や6月に開かれた労働党中央委員会総会で、自力更生で食糧難と経済難を克服していく方針を明らかにし、住民に忍耐を訴えました。

金正恩委員長はまた、6月の労働党中央委員会総会では、昨年の台風被害などで「食糧事情がひっ迫している」と明言し、農業が最優先課題だと強調しました。

最高指導者が自ら食糧不足を認めましたが、北韓は外国からの人道支援の受け取りは拒んでいます。

国連の食糧農業機関と世界食糧計画は先月発表した報告書で、昨年11月からことし10月まで、北韓では86万トンの食糧が不足するとの見通しを示しました。

北韓が外国からの人道支援を拒否している理由は明らかにされていませんが、北韓外務省は公式ウェブサイトに、アメリカの人道的支援は他の諸国に圧力を加えるための「悪意ある政治的な策略」だとする、政府系機関の研究員による批判文書を掲載したことがあります。

北韓が外国からの人道支援を拒否している理由としては、支援物資を受け取る過程で新型コロナウイルスの変異株が国内に拡散することを警戒しているためだとする見方もあります。

統一部は、人道主義にのっとった協力は、政治的、軍事的状況とは別の問題として取り組んでいくのが韓国政府の基本的な方針だとして、今後とも民間団体による人道支援をサポートするための方策を多角的に検討していくとしています。

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