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北韓への個別観光と五輪共同招致

今週のキーワード2020-01-25

ⓒYONHAP News

韓国政府は、北韓への個別の旅行を認める方向で検討を進めると発表したのに続いて、21日には2032年夏のオリンピックの南北共同招致とソウル・平壌共催を推進するための計画案を閣議決定するなど、南北関係改善に向けて動き出しました。

韓国統一部の関係者は20日、政府が検討している北韓への個別旅行を認める案について説明しました。

それによりますと、離散家族の金剛山および開城訪問、第三国を通じた韓国人の北韓への旅行、外国人の南北連携観光を認める方向で検討を進めるということです。

中でも実現可能性が高いのは第三国を通じた韓国人の北韓への旅行です。

中国をはじめとする第三国の旅行会社を通じて北韓へ旅行するのは制裁の対象ではなく、北韓がビザを発給し、韓国政府が承認すれば可能なことだからです。

今のところ北韓が受け入れるかどうかは不明ですが、北韓当局や第三国の旅行会社と具体的な協議を進めるための実務レベルの検討を進めるということです。

現在は韓国人が北韓を訪れるのは南北交流事業の枠内での訪朝に限定されています。

統一部の関係者は国際的な制裁に関連して、外国人による北韓への観光は現に行われていると指摘し、制裁に抵触しないとの見方を示しました。

一方、韓国政府は21日、2032年夏のオリンピックの南北共同招致とソウル・平壌共催を推進するための計画案を閣議決定しました。

文在寅大統領と金正恩国務委員長が2018年9月の南北首脳会談で採択した共同宣言には、2032年のオリンピックの南北共同開催を招致するために協力するという内容が盛り込まれましたが、米朝協議が膠着する中、南北関係も冷え込み、これまで具体的な動きはありません。

閣議決定した計画案には、オリンピックの南北共同開催を招致するための基本計画を確定し、関連の措置を速やかに施行するとの内容が盛り込まれました。

計画案は、来年にも実務レベルの南北合同の推進団を発足させ、南北共同招致計画案を確定し、国際オリンピック委員会による開催地選考の過程で北韓と緊密に協力を進めるとしています。

南北間の交流は米朝関係の影響を受けてきました。

米朝協議が膠着する中、南北関係も冷え込んでいます。

文在寅大統領は新年に入って、南北の交流を進めることで米朝協議を後押しするとの考えを表明しました。

北韓との交流を進めることで、膠着している米朝協議を対話の局面に転換させ、韓半島の平和定着に向けたプロセスを進展させるというのが文在寅大統領の考えです。

韓国としては北韓への個別の旅行やオリンピックの共同招致を通じて北韓の態度変化を促したいところです。

ただ、北韓が応じるかどうかは不明ですし、非核化に向けてアメリカとの連携が重要なだけに、解決しなければならない課題が少なくありません。

しかし、北韓の出方次第では画期的な局面転換につながる可能性もあります。

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