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板門店宣言から2年、南北協力を提案

今週のキーワード2020-05-02

ⓒ Yonhap News

文在寅大統領は板門店宣言から2年となった4月27日に開かれた首席補佐官会議で、新型コロナウイルスと関連した協力をはじめとする南北間の交流と協力について意欲を示しました。

文在寅大統領は新型コロナウイルスと関連した協力について、最も至急で切実な課題だとしたうえで、南北間の交流と協力を拡大する重要な契機になるだろうと述べました。

文在寅大統領は板門店宣言の合意が実行に移されていないことについて、合意を実行する意志がないのではなく、米朝非核化交渉が膠着するなどの要因が重なったためだと指摘しました。

そのうえで、いろいろな制限があるが現時点でできることから一つひとつ着実に実行していく必要があると述べました。

文在寅大統領は現実的で実行可能な交流と協力について、まずは新型コロナウイルスと関連した協力から手掛け、各種の疾病や災害と関連して協力を拡大していくことが望ましいとしました。

文在寅大統領は、新型コロナウイルスと関連した協力から始めて、家畜の伝染病や休戦ライン付近の自然災害への共同対応などの協力を拡大することが「平和共同体」の基礎を固めることにつながると指摘しました。

文在寅大統領は、鉄道の連結、非武装地帯の平和地帯化、韓国戦争当時の戦死者の遺骨発掘、離散家族再会などの交流と協力にも意欲を示しました。

板門店宣言は2018年4月に板門店で行われた南北首脳会談で文在寅大統領と金正恩国務委員長によって発表された共同宣言です。

正式な名称は「韓半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」です。

板門店宣言には、韓半島の完全な非核化を共同目標として積極的に努力をすること、恒久的な平和構築に向けて努力すること、南北交流、往来を活性化すること、軍事的緊張を解消し、軍事的信頼を構築していくことなどの合意が盛り込まれました。

南北の交流と協力については、高位級会談、赤十字会談など、当局間協議を再開するとしたほか、南北共同連絡事務所を北韓の開城に設置し、鉄道と道路の南北連結事業、離散家族再会事業を推進するとしています。

軍事的緊張緩和については、一切の敵対行為を全面的に中止することにし、まずは軍事境界線一帯で実施、黄海の海上の軍事境界線、北方限界線一帯を平和水域にするとしました。

また、恒久的平和構築については、2018年内の終戦宣言を目指して停戦協定を平和協定に転換させ、恒久的な平和構築に向けた南北米3者、あるいは南北米中4者会談の開催を積極的に推進するとしています。

板門店宣言から2カ月後の2018年6月にはシンガポールで史上初めて米朝首脳会談が開かれ、一方で南北は軍事境界線付近で監視所を撤去するなど、板門店宣言の軍事分野合意が一部実行されたりもしましたが、米朝首脳会談後の実務者協議は目立った成果はなく、2019年2月にベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わると、南北間の対話も途切れるなど、南北関係も急速に冷え込みました。

アメリカによる制裁が続く中、北韓は相次いでミサイルを発射するなどしていて、板門店宣言の合意実行に向けた動きは進展がありません。

文在寅大統領が、今回、新型コロナウイルスと関連した南北協力を提案したのは、新型コロナウイルスと関連した協力を契機に南北関係を改善させ、段階的に交流と協力を拡大することで、平和構築に向けた動きを本格化させたいとの考えが反映されたものと言えます。

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