特別番組
仁川 アジア大会リポート
2014-10-01
アジア最大のスポーツの祭典、アジア大会が韓国の仁川で開かれています。
「玄海灘に立つ虹」では、アジア大会の期間中の月曜日から木曜日まで、
「仁川アジア大会リポート」と言う名前で、大会の裏話やこぼれ話をお伝えしていきます
話題1 ノーメダルでも元気
1951年に第1回アジア大会が始まって以来、韓国、日本、中国の三カ国で
7千個以上のメダルを手にしてきました。
一方でこれまで1個のメダルも取れていない国もあります。モルディブとブータンも
そんな国の一つです。
水泳の女子自由形200メートルに出場したモルディブのエミネン選手は先頭との差が28秒以上開き予選で脱落しました。しかし放棄せずに最後まで泳ぎきった彼女に会場からは大きな拍手がおきました。
彼女は試合後のインタビューで「メダルをとるのが目標ですが、今回は経験をつむために出場しました」と語っていました。
またモルデウィブの選手はバレーボールや女子サッカーにも出場しましたが、バレーボールではネットの上に手が届くか届かないかというくらいに身長が低かったものの、ジャンプ、そしてジャンプを繰り返し懸命にボレーをしていました。
女子サッカーでも予選の3試合に参加し、1本のシュートもできないままで3試合で38点の失点をしましたが最後まで懸命に戦いました。
また世界で一番幸福指数の高い国、ブータンも1990年以後、今回が7回目のアジア大会出場です。まだメダルはとれていませんが、ボクシングなど7つの種目に16人が参加しています。
金メダルをとれなくて残念がる選手もいますが、ブータンやモルデウィブの選手にとっては大会への出場自体が大きな夢への第1歩です。
話題2 ヒジャブとアジア大会
ヒジャブというのは、イスラム教徒の女性が髪などを覆い隠すスカーフのような布のことですが、このヒジャブの着用が今回のアジア大会で大きな関心を呼んでいます。
ことの発端は24日の女子バスケットボール、モンゴルとカタールの試合でした。試合直前に大会関係者からヒジャブの着用禁止を告げられたカタールチームは、試合を放棄しました。そして翌日の25日のネパールとの試合も放棄し、カタールチームは結局、この種目の大会参加自体を取りやめました。
このことについてカタール代表のアマル・モハメド選手は「大会前は着用可能と聞いていた。禁止の理由が分からない。大会側が決定を変えるまで試合には出ない」
と行っています。
大会関係者によりますと、「 国際バスケットボール連盟(FIBA)は相手選手を負傷させる恐れがあるとして、ルールでヘアアクセサリーなどの着用を禁じており、頭全体を覆うヒジャブは規定に反するとしてモンゴル戦の直前に外すよう求めた」
ということです
では他の種目はどうかというと、ヒジャブの着用を認めている種目もたくさんあります。
今回のアジア大会でも、女子サッカーの予選、台湾とヨルダンとの試合ではヨルダンの選手がヒジャブを着用して出場しました。またこの試合では主審もヒジャブを着用しており、選手、審判ともの着用でした。
その他にもボート競技に出場したイランの選手、女子バレーボールのモルディブの選手、
ボーリングに出場したイエメンの選手、トライアスロンに出場したクウェートの選手なども皆、ヒジャブを着用してそれぞれの種目に出場しました。
話題3.会場には外国の応援団が
今回のアジア大会、韓国人選手の出場する一部の競技を除き会場は閑古鳥が鳴いているという報道がありました。
しかし一方でここが仁川?、外国ではないかと思わせるような会場もたくさんありました。
男子バスケットボール、韓国とフィリピンの試合が行われた27日の仁川三星ワールド体育館にはたくさんのフィリピン応援団が会場を埋め尽くしました。
なんと5千人の観客の半分以上がフィリピン人だったということです。
結局、試合は97対95で韓国が勝ちましたが韓国代表のムン・テジュン選手は
「韓国で開かれている大会なのに、フィリピンの応援が多くてちょっと残念でした」と語り、
この日、フィリピンの応援にかけつけた韓国の国会議員、元フィリピン人のイ・ジャスミン議員は「韓国でのサッカー人気以上に、フィリピンではバスケットボールが人気です」と言っていました。
会場の観客の国籍をみるだけで、それぞれの国で人気のスポーツが分かるほどです。
マレーシアは今大会のスカッシュ競技で金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個をとり、スカッシュ競技での抜群の強さを示しました。そしてその主役は世界ランキング1位のニコル・アン・デイビッド選手です。ニコル選手は今大会では個人、団体で2冠王となりました。
そのため試合の開かれたスカッシュ競技場の300の観客席のほとんどはマレーシア人で占められていました。
同じように、バドミントンの男子団体決勝、韓国と中国の試合では中国人応援団が、
セパタクロの会場にはミヤンマの応援団がそれぞれたくさんつめかけ、まるで中国で、そしてミヤンマで試合が行われているような雰囲気でした。