スノーボード・ハーフパイプ女子の金メダリスト クロエ・キム
2018-02-13

平昌オリンピック便り


スノーボード・ハーフパイプ女子、ダントツ1位で決勝進出を決めたアメリカのクロエ・キム選手。アメリカのスポーツメディアが一斉に注目しているワールドランキング1位を誇る選手です。
そのクロエ・キム選手、韓国でも熱い視線が注がれています。韓国系アメリカ人だからです。
予選に臨む前、キム選手はこう話しました。

「両親の国で初めてオリンピックに出られて、とてもうれしく思います。
ベストを尽くします」


クロエ・キム選手は、韓国人の両親のもと、アメリカ・カリフォルニアで生まれました。2000年生まれの17歳です。
キム選手がスノーボードを始めたのは4歳の時。6歳でアメリカのナショナルチャンピオンシップで3位になるなど、幼いころからスノーボードで頭角を現しました。そんなキム選手を、父親のキム・ジョンジンさんは午前4時に車に乗せ、スキー場に向かい、夜中の12時に連れて帰宅するという生活を続けました。往復10時間の運転をいとわなかったキムさんの娘へのサポートはアメリカでも大きな話題となり、キムさん親子のこうした姿を撮ったオリンピック関連の広告が、スーパーボウルの期間中に流れたといいます。
そんな父親の愛情に応えるかのように、キム選手は、予選前の記者会見でこう話しています。

「プレッシャーを感じないようにしています。プレッシャーは競技の妨げになるだけです。知らず知らずのうちにプレッシャーを感じていたとしても、「みんなが私のことを信じてくれて、私がうまくやってのけることを分かっているから、私への期待が大きいのね」と、前向きに考えることにしています」

プレッシャーをものともせずに育ったせいか、キム選手はくったくのない無邪気さをあらわにしています。
予選1回目を終えたあと、自らのSNSに「アイスクリームが食べたい」と書き込みました。そして、予選終了後のインタビューで、
「予選1回目を終えて2回目を待っているとき、アイスクリームが目に入ってきました。早く予選を終わらせて食べようと思いました」と話し、笑いを誘いました。

この数年間、毎年両親と韓国に旅行に来ていたというキム選手が好きなのは、アイスクリームとトッポッキ、そして歌手のCLだといいます。世界的な注目を浴びる選手ですが、普段はまったく普通のティーンエイジャーのキム選手、13日午前、スノーボードハーフパイプの決勝で、98.25を記録し、金メダルを獲得しました。
満点に近い点数ですが、まだ17歳。キム選手のこれからの活躍を、世界中が期待で見守っていくことでしょう。



オリンピック選手村の食堂
今回の平昌オリンピックは、スキーなどの屋外競技は山岳エリアの平昌、一部ジョンソンで、屋内種目は海岸エリアのカンヌンでおこなわれています。では平昌には体育館のような屋内競技場がないのかというと、そうではありません。竜平ドームと呼ばれる室内氷上競技場があります。オリンピックの期間中、平昌選手村の食堂として使われています。選手村の食堂は、平昌とカンヌンの2ヶ所にあり、平昌選手村の食堂は、3900人余りの選手を24時間体制で受け入れています。

食事を担当している新世界フードは、この1年余りの間、西洋料理やアジア料理をはじめ、ベジタリアンのための料理やハラルフードなど400余りのメニューを開発しました。多様なメニューが、朝、昼、晩、夜食まで一日4回提供されています。平昌選手村の食堂で使用される食材はおよそ1100種類、消費される食材は25-30トンです。また、食中毒を予防するため、ハンバーガーや家禽類はウェルダン、つまり肉の中までよく焼くのが原則で、万が一のために警察や消防隊員が常駐しています。

平昌選手村の食堂で人気のあるのは、果物と、ハンバーガーやステーキなど牛肉類で、韓国の料理では、チャプチェ、チャンチクッス、キムパプが人気メニューだそうです。チャプチェは韓国春雨の炒め料理で、キムパプは海苔巻きのことです。チャンチクッスとは熱い汁の麺料理で、チャンチは宴会やお祝い事を意味し、クッスはそうめんで、文字どおりおめでたい場でもてなされていたことからこう呼ばれています。いまでは普通に食べられていますが、英語で「フェスティバルヌードル」と訳されていることから、縁起がいいと思われているのが人気の秘訣ではないかという話もあります。

平昌選手村の食堂のもっとも大きな特徴は、ベーカリーが充実していることです。遠く離れた工場でパンを焼いて持ってくるのではなく、ベーキングセンターを独自に設け、毎日焼きたてのアツアツのパンが食べられるようになっています。そのために50人のパティシエが勤務しています。ちなみにシェフは150人。いずれも一日4交代制で勤務しています。食堂で働く人たちが一番つらいのは、家族と離れ離れになっていることですが、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ委員長が、「食事について選手たちの苦情がないオリンピックは初めてだ」と感謝の言葉を述べるなど、やりがいを感じているということです。

(Photo : Yonhap)
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