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ライフスタイル

千鏡子画伯

2015-10-28

玄海灘に立つ虹

千鏡子画伯
先週の木曜日にこんなニュースをお伝えしました。
韓国を代表する女性画家として親しまれてきた千鏡子(チョン・ギョンジャ)さんが、2か月前にアメリカで亡くなっていたことがわかりました。
千鏡子さんの娘、イ・ヘソンさんが、韓国の日刊紙、朝鮮日報とのインタビューで明らかにしたものです。
それによりますと、千鏡子さんは、8月6日午前5時ごろにアメリカ・ニューヨークの自宅で息を引き取ったということです。

そして昨日、千鏡子さんの遺族が記者会見を行いました。長女のイ・ヘソンさんを除いた次女と長男らによる記者会見の内容は
私ども遺族5人は母が2015年8月6日に亡くなったというニュースを10月19日に知りました。姉からは連絡は全くありませんでした。母が亡くなったということは10月19日に韓国の銀行から母の銀行口座の解約を求める電話が来て、初めて知りました。また母の遺骨を姉が持ち、8月にソウル市立美術館を訪れたという話もマスコミの報道で知りました。遺族5人は葬儀の有無の確認はもちろん、母の遺骨がどこにあるのかも分からない状況です。
韓国を代表する女性画家といわれる千鏡子さんの人生はまさに、亡くなった後まで波乱万丈のようです。千鏡子さんは1924年に全羅南道(チョンラナムド)高興(コフン)で生まれ、日本留学を経て画家としての活動を始め、1970年代から華やかな色彩の人物画を披露し、韓国の代表的な女性画家として多くのファンから愛されてきました。

日本では現在の女子美術大学で学びましたが、その時に日本画の色彩画の華やかな世界に触れ、それが彼女の画風に大きな影響を与えます。それまでの韓国には水墨画の黒白の世界しかありませんでしたが、彼女はそこに華やかな色彩の絵を持ち込んだのです。
彼女の絵の代表的なモチーフは花、女性、蛇などです。1951年には韓国戦争の動乱の中で妹を肺結核でなくし、その悲しみに打ち勝とうと描いたのが蛇35匹が登場する「生態」という絵です。また彼女の絵に登場する首の長い女性はすべて千鏡子さん自身がモデルです。
女性の美人画で有名な彼女ですが、彼女が筆をおくことになったのもこの美人画偽作疑惑が契機でした。
1991年、国立現代美術館で所蔵していた「美人画」に対し、作家本人が自分の作品ではないと主張したことから事は始まりました。作家は美術館で販売されている複製画を見て疑問を抱き、美術館で本物の作品を見た後でこれは偽物だと主張したのです。しかし韓国画廊協会美術品鑑定委員会は美術館側の依頼でこの作品をX線、紫外線などの科学的な方法で鑑定し、本物だという結果を発表しました。この結果に千鏡子さんは大きなショックを受け、世間からは「自分の作品も分からない画家』だと言われます。
この事件の後、 千鏡子さんは1998年、自身の作品をソウル市立美術館に寄贈し、アメリカにわたります。そして2003年に脳出血で倒れ、活動を中止していました。去年6月の東亜日報には「90歳の千鏡子画伯どこでどうやって暮らしているのか 」と言うタイトルの記事がのるほど、渡米した後の彼女の暮らしはベールに包まれていました。そして先週、彼女の死が正式に確認されたのです。現在、彼女の作品が所蔵されているソウル市立美術館には彼女の死を惜しむたくさんの美術ファンが足を運んでいます。

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