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ライフスタイル

卒業式の祝辞

2016-02-17

玄海灘に立つ虹

卒業式の祝辞
韓国は今、卒業式のシーズンです。日本と同様、卒業式に来賓の祝辞は欠かせません。ある女子高の卒業式での来賓の祝辞が大きな関心を呼んでいます。
ソウル市江南区にある私立の女子高、ウングァン女子高校の卒業式でのことです。卒業生400人と父母や教師600人を前にしてこの学校の理事長が祝辞を述べました。
去年と、おととしにはソウル大学、延世大学、高麗大学、梨花女子大学、淑明女子大学に合格した生徒が50%~70%に達したのに、今年はその3分の1にも達しませんでした。このような結果は先生方のせいでしょうか、先生方の教え方が悪かったのでしょうか。私はこの学校のために200億ウォンを投資しました。ウングァンを世界的な名門校にして欲しい。
それでなくとも自分の希望通りの大学に進学できずに、あるいは浪人が決まりがっくりきている生徒たちにとって、冷や水をかけるような挨拶でした。この挨拶が非難を浴びたのは当然のことで、新聞にまで報道され大きな反響を呼びました。新聞報道された翌日には理事長のこんな言い訳が報道されました。
教育的な趣旨から話したことだが、意志の疎通の過程でうまく伝わらなかったようだ。ソウル大学に7人しか行けなかったことは残念だが、それは学校の教え方が悪かったのだ。生徒たちには3年間、ご苦労様でしたという意味から話した。女性の判事・検事など法曹界にはウングァン女子高出身の先輩方がたくさんいる。ソン・ヘギョなど芸能界にも先輩はいる。ウングァン女子高出身としてプライドを持つようにと言う意味で話した。
と言っています。実はこの理事長本人は苦学をして学校を卒業し、受験の予備校で大きな財を築いて、2002年にこの女子高の財団理事長になった人物です。
小学校を卒業し100ウォン玉2枚を手にソウルに上京し、苦学しながら中学を卒業、大学も韓国放送通信大学を卒業しています。中学の担任の先生の助けをかりて予備校を作り、その予備校が修学能力試験で満点者を出すようになり人気を得ます。そのようにして儲けた金を整理して2002年に財団を引き受けることになりました。
今週のドラマ韓国語の一言、꼭 붙어야지、必ず合格しなくちゃをそのまま祝辞にしたような話でした。この理事長の祝辞を聞いた生徒の一人は
卒業生一人一人の夢はそれぞれ違うのに、受験の成績だけで評価されてしまい非常に残念だった
と感想を述べていました。

スピーチというのは本当に難しいものです。この理事長の履歴自体が受験戦争の真っ只中、予備校から這い上がってきた人物だからこんな発言をしたのだろうという見方もできますが、私はそれよりもスピーチをお説教と間違えている、ユーモアのあるスピーチを出来ない韓国人の口下手にも原因があると思います。

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