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ライフスタイル

オリンピックと法律専門家

2016-08-10

玄海灘に立つ虹

オリンピックと法律専門家
今回のオリンピック、韓国選手団は新たな試みをしています。英語と韓国語を話す弁護士を連れて行ったのです。韓国の大手ローファー、キム&チャン法律事務所のジェフリー・ジョーンズさん(64歳、米国)がその主人公です。その意味についてジョーンズさんは
「五輪の種目ごとに判定に抗議する手続きが異なる。水泳の場合、競技終了後30分以内に定められた様式に基づいて書類を提出し、100スイスフラン(約1万1000円)の保証金を出さなければいけない。あらかじめ準備しなければアピールする機会も得るのが難しい。種目別に異なる異議申請規定を一冊の冊子に整理してリオに持っていく」
と説明しています。私は法律の専門家がついていくという話を聞いて、ロンドンオリンピックでのフェンシングの試合のことを思い出しました。試合が終わった後も審判の判断に抗議し会場を去らなかった韓国選手がいました。ジョーンズさんもこの場面を覚えていたようです
「2012年ロンドン五輪当時、フェンシング選手のシン・アラムが『1秒の誤審』で涙を流す姿をテレビで見ながら胸が痛んだ。リオでは悔しい思いをする韓国選手が一人も出てこないよう最善を尽くす」
と話しています。今回の大会、日本選手の中にも失格の判定を覆した選手がいました。競泳女子100メートル平泳ぎの予選で渡部香生子(わたなべかなこ)選手が当初、泳ぎ方に違反があったとして失格とされましたが、その後、大会側に抗議してレースの1時間後に準決勝進出が決まりました。
今のオリンピックではきちんと抗議することが大切なのだと感じたものでした。ジョーンズさんは1971年にボランティア活動のために初めて韓国を訪れ、80年からソウルで弁護士として働いています。もう45年にもなるということです。ですから韓国人を見つめる目も確かです。
「韓国人は悔しいことがあれば感情を表現するのに積極的である半面、論理立てて対応するのは弱い。感情をできるだけ自制し、論理と法律から探す西欧社会との間隔を狭めるよう助けるのが私の役割」
今回の韓国チーム、審判にただただ涙で抗議するのではなく、論理的に、正式に抗議できるようになっただけでも金メダルに大きく近づいたと言えるでしょう

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