パク・チャヌク監督作
2024-06-05
日本の文部科学省は29日、2023年度から高校2年生の生徒が使う教科書の検定結果を公表しました。
検定に合格した教科書は、「従軍慰安婦」という用語が「慰安婦」に修正されたり、「強制連行」という用語が「動員」や「徴用」に置き換えられるなどしていて、歴史認識が後退しているとの批判が出ています。
最も目に付くのは、「強制連行」という用語がなくなったことです。
発行者側が申請した教科書には、朝鮮半島出身労働者に関する記述で「強制連行」という用語が使われていましたが、「動員」や「徴用」に置き換えられ、記述が削除された教科書もあります。
審議の過程で「政府の統一見解を基準にした記述でない」との指摘があったためです。
また、従軍慰安婦に関する記述では、「従軍慰安婦」という用語が「慰安婦」に修正され、日本軍による関与について記述した教科書はほとんどありませんでした。
日本政府は昨年4月、「強制連行」や「従軍慰安婦」の表現が不適切だとする答弁書を閣議決定しました。
高校の地理歴史と公民の教科書検定では、政府の見解に基づいた記述をするとの基準が2014年に導入されています。
政府の見解を強要するのは教育の自主性や自律性を確保するという原則に反することであり、教科書検定制度の趣旨を毀損することにほかなりません。
「強制連行」や「従軍慰安婦」の表現が不適切だとする日本政府の見解は、1993年8月の「河野談話」にも反しています。
慰安婦問題をめぐって、当時の河野洋平官房長官が「おわびと反省」を対外的に表明した「河野談話」を発表しましたが、その中で慰安所が旧日本軍の要請で設置され、旧日本軍が直接または間接的にこれに関与したことを認めています。
また、慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者がこれに当たったが、甘言、強圧によるなど、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあったと認めています。
安倍政権、菅政権、岸田政権でも河野談話を継承するとの立場を確認していますが、今回の検定結果を見るかぎり、河野談話を継承するのではなく、歴史認識を後退させているとの批判が出ています。
検定結果について、韓国政府は声明を発表、「慰安婦問題と強制徴用問題と関連する表現が強制性を薄める方向に変わった」として、「深い遺憾を表明し、是正を促す」としました。
検定結果については、中国政府も「侵略の歴史を否認するからくりだ」と反発しました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領は韓日関係について、「両国の政治指導者や国民が、関係改善を未来志向に強く推し進めることが必要だ」と述べ、関係修復に意欲を示しました。
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