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ライフスタイル

第29話 韓国人の生活に身近な韓方薬

2008-12-22

玄海灘に立つ虹

第29話  韓国人の生活に身近な韓方薬
韓国では、肌寒くなってくると、韓方医院を訪ねる人が多いです。
寒さに備えて、風邪を引かないように、元気に冬を過ごせるように韓方薬を飲むためです。この韓方薬は「補薬」といって、病気を治療するためのものではなく、その名のとおり体を補う薬です。
だからといって何でも飲んでもいいというわけではなく、 韓方医院で脈診や問診をしてもらい、その結果をもとに薬が処方されます。
韓方薬は、普通1度に1ヶ月ぐらい飲める薬が処方されます。煎じるのに時間がかかるので指定された日に取りに行くか、宅配便で受け取ります。箱を開けると1回服用分が入った真空パックが40数個ぐらい入っていて、それといっしょに韓方薬服用中に注意すべきことが細かく書き添えてあります。たとえば、かぜなどの症状が出た場合は服用をいったんやめて、なおしてからまた飲む、などと書いてあります。一番多いのは、食べ物のリストです。いずれも韓方薬服用中に食べると薬効が落ちるので、できれば食べない方がいいという食材です。小麦粉や緑豆が代表的です。それに生の大根、豚肉、鶏肉、コーヒー、ソフトドリンクなど、医師の先生や薬材によって少しずつ違いますが、食事制限をされるようでつらいのは同じです。
ちなみに「韓方医学」とは韓国の古代医学に中国の医学が取り入れられ、韓国で研究開発された学問で、漢方医学と呼ばれていましたが、韓国固有のものだという認識が広がり、1986年から韓国の医療法で韓方医学と呼ぶことと規定されました。
韓方医学は、普通の韓国人にとっては堅苦しい医学というより生活に非常に密着した医学です。韓方薬は病気の治療を目的にする場合もありますが、季節の変わり目に飲む補薬のように、治療以外の目的で飲む場合が多いのです。たとえば「聡明湯」。これは健忘症を治療する処方なのですが、その目的以外にも受験生や精神労働の多い人などに効果があるとされます。大学受験を控えた高校3年生に飲ませると、集中力が向上し体力もつくということで、いやがる子どもたちに無理やり飲ませるアジュンマも多いです。
韓方薬は独特のにおいがするので最初は飲みにくいと感じることもありますが、慣れてくるとそうでもありません。即効性があるのではなく、飲み続けることで体質が改善されるというものなので、韓方医院とは長い付き合いになり、家族ぐるみでお世話になるという場合も韓国ではよく見られます。韓方薬材に重金属が含まれていたとか、副作用があったなどの報告もありますが、ホームドクターのように頼りにされていることが多いのです。

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