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ライフスタイル

第167話 韓国の相撲、シルムについて

2011-09-12

玄海灘に立つ虹

第167話 韓国の相撲、シルムについて
韓国にはシルムという日本の相撲と似た競技があります。プロのシルム選手による競技は旧暦のお正月(ソル)やお盆(秋夕)に行われることがほとんどで、今年も旧暦のお盆、秋夕(チュソク)を迎え、10日から13日までの4日間、KBS第1テレビで競技の模様が生放送されています。
シルムは壮士(チャンサ;競技をする人または選手のこと)ふたりが力と技を駆使しながら戦い、相手の体を倒したほうが勝ちです。壮士は体重によって階級が分かれます。
また上半身は裸で、下は半ズボンか専用のパンツをつけ、腰にはサッパと呼ばれる紐が巻いてあります。しゃがんだ姿勢で互いのサッパを握り、その姿勢のままそろそろと体を起こします。ちょうど日本の相撲で力士ががっぷり四つに組んだような格好になります。この姿勢で、合図がなると試合が始まります。
シルムは相手を倒す、転ばすと勝ちになります。相撲の土俵にあたる砂場で競技を行いますが、あくまで相手を倒したほうが勝ちで、砂場の縁の外に出てしまったら、「場外」といって競技をやりなおすことになります。この点が相撲との一番の違いではないかと思います。相撲は相手を転ばせても勝ちですが、土俵の外に相手を追いやれば勝ちをとれるのが特徴です。この違いについては興味深い分析があります。日本は島国で海洋民族なので、敵を船から海に追いやれば勝ちです。韓国は土着民もいますが、騎馬民族がやってきて定着した場合が多く、敵が乗っている馬を倒すか、敵を馬から落とせば勝ちです。つまり格闘技である相撲とシルムにこうした特徴があるのは、両国の地形と生活文化の違いによるものだという説です。
シルムの起源は定かではありません。原始時代、裸同然の丸腰で他の部族や野生動物などと戦い、勝たなければ生き残れなかったときの名残だともいわれています。また特に名節(お正月やお盆などの祭日)のシルムは共同体が崇める神の前で行われ、裸で競技が行われるのは、誰でも誰とでもわけ隔てなく競技ができるということを象徴しているということです。
以前はシルムが盛んで、ソルやチュソクでなくても年中テレビで放送されていたと記憶しています。優勝した壮士が賞品の牛一頭を引き連れて、砂場の周りを誇らしげに周っていた姿をよく見かけたものでした。農耕社会だった韓国で、農業の役に立つようにという意味から牛が贈られていましたが、いまでは賞金を受け取るようになっています。でもこのところシルムはだいぶ廃れてしまい、競技そのものも選手も精彩を欠いているようです。そのため、K1やプライドなどの総合格闘技に移る壮士も出るなど、ますます衰退の一途を辿っています。  

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