メニューへ 本文へ
Go Top

ピープル

韓国の日本小説ブーム

2007-08-31

日本文化と言えば、まだまだ全面的な受け入れは難しいといわれるなかで、「日本小説ブーム」に対し、文芸誌「21世紀文学」が評論家、教授、作家の3人による日本小説の人気の秘密を分析する小論文を掲載し、ちょっと話題になっているそうです。

今回、日本小説を分析する小論文を発表したのは、文学評論家のチョン・ヨウルさん、仁荷大学韓国学研究所のキム・ギョンウォン教授、詩人のチャン・イジさんの3人です。3人は、村上春樹さんの小説がきっかけとなって韓国に日本小説ブームが始まり、2000年代に入になって全面的な広りを見せているという分析しています。だた、日本語文学の人気を素直に受け入れてよいものか否かについてはそれぞれ意見が分かれているようです。

文学評論家のチョン・ヨウルさんは、「村上春樹をはじめとする日本文学にみられる異国的情緒は、実は米国的大衆文化の普遍化という世界的な流れにぶつかったものである。村上春樹以降の日本の文学に現れる文化的趣向は一様に米国ポップ文化だ」と指摘した。さらには、日本文学は様々な媒体が競合するマルチメディアにも生き残ることができたが、それは文学的に優れているからというよりは、マーケティング戦略と大衆文化的要素が強いところにある」と批判的な見方を示しています。

そして2人目、仁荷大学韓国学研究所のキム・ギョンウォン教授は、「韓国文学低迷の原因を日本小説のせいにするのは果たして妥当か」と疑問を投げかけ、日本小説が韓国文学のすきまに入ってきたのか、韓国文学の空白を埋めているのかは断言できないとしています。キム教授は日本小説の長所として、具体的なストーリー、新鮮な素材と創作技法、重くも軽くもないテーマの3つを挙げ、男女関係、愛をめぐる問題など日常的なテーマを繊細に表現していると評価しました。また、韓国小説よりも伝統社会から脱皮した姿を見せており、文学性が落ちているものでもないとした。

最後の評論家は、 詩人のチャン・イジさん。「文学がエンターテインメント化するということが文学の威儀を失墜させるかもしれないが、文学が変わる準備ができていないまま文学の危機だけを強調するなら、それも惰性に流されることになるのではないか」としている。ただ韓国の読者は村上龍の小説の退廃的雰囲気を、全共闘時代の意識や、米軍基地がある沖縄問題と関連付けて読んではいないとし、日本小説が広く読まれている点が問題なのではなく、脱歴史化され読まれている点が問題だと指摘していました。
このような専門家の日本文学への批評。みなさんはどのようにお感じになりますか?

では、参考までに、今、韓国で人気の日本小説をご紹介しましょう。

1  奥田英朗  「空中ブランコ」
2  江國 香織   「いつか記憶からこぼれおちるとしても」
3  奥田英朗   「ガール」
4  吉本ばなな  「アルゼンチンババア」
5  木藤亜也  「1ℓの涙」

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >