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大韓航空会長の取締役再任、異例の否決

2019-03-30

ニュース

ⓒKBS News

韓国の大韓航空の株主総会が27日、ソウルで開かれ、趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の取締役再任を求める議案が否決されました。

賛成64.09%、反対35.91%でした。

賛成が64%を上回りましたが、大韓航空の定款で定める3分の2以上の賛成には及ばず、議案は否決されました。

趙亮鎬会長は創業者である父親の後を継いで、1999年に会長に就任し、20年にわたって経営トップに君臨してきましたが、取締役の座を追われるという異例の事態となりました。

株主総会の前日、大株主の政府系機関・国民年金公団は再任に反対する立場を決めました。

国民年金公団の受託者責任委員会は、趙亮鎬会長について、企業価値を毀損し株主の権利を侵害したなどの履歴があると判断したとして、再任に反対するとの立場を明らかにしました。

フロリダ年金、カナダ年金、ブリティッシュ・コロンビア投資公社など、外資系の株主らも反対に回りました。

取締役再任議案の否決はある程度予見されていました。

趙亮鎬会長の家族については、長女の趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏が乗務員のナッツの出し方に激怒して飛行機を引き返させた「ナッツリターン」事件で世を騒がせたほか、二女も広告会社のスタッフに飲み物をかけたとして問題になりました。

また、妻は工事業者に暴言を浴びせる映像が報じられたりしました。

趙亮鎬会長自身も270億ウォン相当の会社の資金を流用したとして、背任や横領などの罪で昨年、在宅起訴されています。

国民年金公団が反対票を投じたのは、スチュワードシップ・コードが導入された結果です。

スチュワードシップ・コードは、企業経営の収益力を向上させたり、企業の不正を監視したりするなどのコーポレートガバナンスを強化し、機関投資家の支配力を活かすという制度です。

2008年のリーマンショック以降、機関投資家が企業のリスク管理をないがしろにしたという批判が出たことを受けて、イギリスやアメリカ、日本など20カ国余りがこの制度を導入しています。

韓国では2016年12月にこの制度が初めて導入されましたが、国民年金公団は文在寅政権下で昨年7月にこの制度を導入しました。

趙亮鎬会長の再任議案が否決されたのは、株主や国民の支持を得られなければ、財閥のトップも取締役の座を追われることになりかねないことを示すものと受け止められています。

一方、財界は国民年金公団が反対票を投じたことについて反発しています。

全国経済人連合会、韓国経営者総協会などは、政府が国民年金公団などを利用して企業の経営権に影響を及ぼし、自由な企業活動を妨げる恐れがあると主張しています。

一方、大韓航空を中核とする韓進グループの会長は依然として趙亮鎬氏が務めていて、経営への影響は限定的との見方もあります。

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