韓国フーズフーは、今、ニュースやインターネットで話題になっている人物、前からよく名前は聞いているけれども一体何をしている人物なのかよく分からないという人をマルコメの視線から3つのキーワードでご紹介していくコーナーです。
今週は日本にもたくさんのファンがいるクラシックのピアニスト、チョ・ソンジン(趙成珍)さん、30歳です。
先週のニュースでイム・ユンチャンさん(20歳)がグラモフォン賞を受賞したというニュースがありましたが、チョ・ソンジンさんとイム・ユンチャンさんはまさに今の韓国クラシック界をリードしている若きスターです。
1.コンサート
チョ・ソンジンさんにはKポップスターと同じような厚いファン層があり、彼の公演には国内はもちろん、海外にも付いていくと言われています。
そして韓国はもちろん日本にもたくさんのファンがいます。
今年2024年の彼の公演を見てみると、上半期、まず5月7日から11日にかけて東京フィルハーモニー交響楽団の韓国ツアーが行われましたが、同交響楽団の名誉音楽監督のチョン・ミョンフンさんと共に、チョ・ソンジンさんは3回の共演を果たしました。
また6月には単独のリサイタルが光州と江陵で開かれています。
同じ時期、日本でも全国ツアーが行われました。
東京サントリーホールをはじめとして福岡、愛知、大阪、鳥取、神奈川で6月5日から12日までリサイタルが行われました。
そして下半期を迎え、今月25日と26日にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソウル公演で共演します。
そしてその後、27日に慶尚南道の統営で「チョ・ソンジンとフレンズたち」という公演を行います。
また11月にはバイエルン放送交響楽団の韓国ツアー、日本ツアーが行われ、その際に11月20日と21日のソウルロッテコンサートホールでの公演と、24日と26日の東京と神奈川での公演に共演します。
もちろんこれらのチケットはすべて完売しました。
またチョ・ソンジンさんは2017年2月にニューヨークのカーネギーホールで23歳の若さで単独リサイタルを開いています。そしてコロナ禍の過ぎた2023年にもカーネギーホールで4年ぶりのリサイタルを開いています。
2.コンクール
ソウル生まれで6歳からピアノを始めたチョ・ソンジンさんが世界に名を知られるようになった契機として、3つのコンクールでの優勝があげられます。
最初は2008年、14歳の時にモスクワで行われた「青少年のためのショパン国際ピアノコンクール」での優勝です。
そしてその翌年には15歳で、第7回浜松国際ピアノコンクールに最年少で優勝、同時に日本人作品最優秀演奏賞、札幌市長賞も受賞します。
この浜松国際ピアノコンクールでの最年少での優勝が日本のメデイアにも大きく取り上げられ、彼の名前が日本で知られる契機となりました。
そして3番目の一番名誉ある受賞が、2015年の第17回ショパン国際ピアノコンクールでの優勝です。その際にはポロネーズ賞も受賞しています。同コンクールでのアジア人の優勝は彼が3人目でした。
ショパンコンクールでの優勝がチョ・ソンジンの名前を世界に知らせる契機となりました。
そしてコンクールではありませんが、今年5月にはベルリン・フィルハーモニー交響楽団のアーティスト・イン・レジデンスに就任し、これから1年間ベルリンフィルと多くのプロジェクトで共演していくことになります。
3.人柄
チョ・ソンジンさんにはいくつかの可愛らしいニックネームがついています。
まず、その優しそうで可愛らしい雰囲気から「チョトリ」というのがあります。
これはハムスターから取ったものです。
日本のアニメ「とっとこハム太郎」の主人公ハム太郎を韓国では ハムトリと呼んでいます。このハムトリに似ているということからチョ・トリなんだそうです。
また同じように日本のアニメ「ボノボノ」の主人公のラッコ「ボノボノ」にも似ているということから、ボノボノもチョ・ソンジンさんのニックネームの一つになっています。
ショパンコンクールで優勝した際のインタビュー映像やフランスのラジオ放送に出演した映像を見ると、その声は思ったよりも低音でソフト、何よりもフランス語がうまくて驚かされます。
これはフランス留学の際に培ったものだそうです。
さて、今年30歳ますます演奏に磨きがかかってきたチョ・ソンジンさんですが、今後について日本の雑誌とのインタビューでこんなことを語っていました。
私は10代のころからたくさんの偉大なアーティストと話をする幸運に恵まれました。彼らからのアドバイスで共通していたのが、40歳になる前に新しい曲を覚えるようにしなさいということでした。40歳を超えると新しい曲を覚えるのが少し大変になるからと。
なので、17歳の時に私は40歳になる前に覚えたいレパートリーをすべて書き出しました。そのノートは今も持っています。もうすぐ30歳になりますが、書き出した曲の半分近くを覚えました。
次はベートーヴェンとブラームスをもっと覚えたいと思います。それからラヴェルのピアノ曲の全曲演奏はずっとやりたいと思っていましたが、ベルリンでやります。レパートリーはとてもたくさんあるので、ピアニストとして私はとても幸運です。
チョ・ソンジンさんと言えばショパンが有名ですが、そのレパートリーは無限に広がっていきそうで、これからがますます楽しみです。