ⓒ사계절きょうの絵本は「筋肉おじさんと太っちょおばさん(근육 아저씨와 뚱보 아줌마)」。このタイトルから、みなさんはどんなお話を想像しますか?
最初のページに描かれているのは、筋肉隆々の男性と、体の大きな女性の姿。二人はどこの国の人なのか、どういう関係なのか、まったくわかりません。そんな不思議なムードで物語ははじまります。
それでは、絵本の世界へ足を踏み入れてみましょう。
*****
筋肉おじさんと太っちょおばさんは、森の中に住んでいます。
二人はとっても大きくて、いかつい体つきをしています。
ⓒ사계절筋肉おじさんの趣味は、鳥たちを肩車してあげること。
「おいおい、たくさん乗ってもいいけど、頭まで覆ったら前が見えなくなっちゃうよ」
それから、怪我をしたあかちゃん鳥を治してあげること。
ちからこぶにブランコを引っかけて、あかちゃん鳥に飛ぶ練習をさせます。
「練習すれば早く飛べるようになるよ」
ⓒ사계절太っちょおばさんは、というと。
つま先立ちで、そおっと、よたよた歩いています。
ありんこたちを踏みつぶしてしまわないように。
ありんこの行列が通り切るまで待っています。
おばさんは地べたに突っ伏して
ありんこたちがみんな巣の中に帰るまで待っています。
やがて、
横たわったおばさんの周りに、ありんこの群れ。
みんなが一枚ずつ葉っぱをくわえて集まっています。
「太っちょおばさんが風邪を引いたら大変だ」「大変だ」
ⓒ사계절その様子をみていたあかちゃん鳥は、筋肉おじさんの元へ飛んでいきました。
「おじさん、おじさん。太っちょおばさんが地べたで寝ちゃったよ」
おじさんが行ってみると、
おばさんの大きな体には、葉っぱの布団がこんもりとかけられていて
おばさんはすやすや眠っています。
筋肉おじさんは太っちょおばさんをおんぶして
森の中へと帰っていきました。
*****
こんなお話でした。
とくに大きな事件も起きない静かなお話ですが、妙に余韻が残る絵本です。
ⓒ사계절筋肉おじさんも太っちょおばさんも、たくましい自分の体をみせびらかすでもなく 、小鳥を治療してあげたり、ありんこの邪魔にならないように過ごすだけです。森の生き物を守るスーパーヒーローというわけでもありません。そして、小さな生き物たちは彼らなりにこの大きな人間を見守りながら、お互いに暮らしている世界です。
絵本作家のチョ・ウォンヒさんが描いたこの絵本は、2012年に発売された後、10年を経て2022年に「森編」として再販され、続編の「湖編」も発表されました。湖編では、小さな生き物たちと一緒に湖で泳いでいた太っちょおばさんが、木の上の鳥の巣を守ろうとして湖に落ちてしまった筋肉おじさんを助けてあげる話。おばさんがおじさんをゆうゆうと担いで帰っていくシーンがユーモラスに描かれています。
発表されて以来「一番好きな絵本」としてこの作品を取りあげる人が多いくらい、ファンが多いそうです。挿画とデザインも素晴らしく、二冊を並べて飾っておきたくなるような絵本です。