ユネスコ世界遺産の意味
人類に普遍的な価値を持つ文化遺産と自然遺産を保護する活動を繰り広げているユネスコは、1972年に採択された「世界遺産条約」に基づいて、世界各国から推薦があった文化遺産と自然遺産を審査し、世界遺産として登録している。自国の文化遺産と自然遺産がユネスコ世界遺産に登録されると、その価値が国際的に認められたということで、観光の活性化はもちろん、保護管理体制を構築するための国際的な支援を受けるきっかけとなる。
1995年、韓国で初めてユネスコ世界遺産に登録された石窟庵と仏国寺、
海印寺の蔵経板殿、宗廟
ⓒ KBS韓国の世界遺産
韓国は1988年、世界遺産条約に加盟し、1995年、韓国を代表する文化財、石窟庵(ソックラム)と仏国寺(プルグクサ)、海印寺(ヘインサ)の蔵経板殿、宗廟(チョンミョ)が世界遺産の登録された。仏国寺は仏の国、仏国土を現実に再現した韓国を代表するお寺で、洞窟寺院の石窟庵は仏陀が悟りを開いた瞬間を象徴的に表現したと評価されている。海印寺の蔵経板殿は朝鮮王朝時代初期の13世紀に完成された木造の建物で、法文が刻まれた
木板、大蔵経板を保管するために建てられた。窓の位置や大きさ、床を敷く材料など、至るところに自然に湿度を調節できるように工夫されている。宗廟は朝鮮王朝の歴代の王と王妃の位牌を祀った建物で、王と王妃を祀る祭礼儀式も行われる。その後、昌德宮(チャンドックン)、水原華城(スウォン・ファソン)、朝鮮歴代の王と王妃が眠る40基の王陵、済州(チェジュ)の火山島や溶岩洞窟などの文化遺産が登録され、合わせて17件がユネスコ世界遺産に登録されている。
宗廟祭礼楽
ⓒ KBS韓国の「人類の口承及び無形遺産の傑作」と「世界の記憶」
ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」には宗廟で執り行われる宗廟祭礼とともに、この祭礼儀式で演奏される音楽である宗廟祭礼楽、伝統芸能のパンソリ、長い冬に備えて春先まで食べる大量のキムチを漬けたキムジャン文化、民謡のアリランなど韓国の伝統文化が登録されている。また、朝鮮王朝4代目の王、世宗(セジョン)が韓国語の表記に合った新しい文字を作り、それを記録した「訓民正音(フンミンジョンウム)」、朝鮮王朝時代の歴史と出来事を細かく記録した「朝鮮王朝実録」、仏教書籍の「直指心体要節」、近代韓国で起こった5.18民主化運動の記録など合わせて20件がユネスコの「世界の記憶」に登録されている。
「直指心体要節」と「訓民正音」
ⓒ KBS
パンソリ、KBS特別生放送「離散家族を探しています」の記録
ⓒ KBS世界遺産を守るために努力する韓国
「直指心体要節」のユネスコ「世界の記憶」登録をきっかけに、2004年、韓国の中部、清州(チョンジュ)市は「直指賞」を制定し、2023年には世界で初めてユネスコ国際記録遺産センターがオープンした。また、韓国の釜山では2026年ユネスコ世界遺産委員会が開催される予定である。さらに、発展途上国の保存が必要な文化遺産に対して、技術的、経済的支援をするために努力し続けている。
2005年第1回ユネスコ直指賞授賞式
ⓒ KBS