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ライフスタイル

芸能人と電子足輪

2013-04-17

玄海灘に立つ虹

芸能人と電子足輪
先週、有名歌手のコ・ヨンウク被告(37)に裁判所が、数回にわたり未成年者に性的暴力をはたらいた罪で、懲役5年と10年間の電子足輪の着用を命じる判決を下しました。

コ被告は去年12月にソウル市西大門区内で帰宅途中の14歳の女子中学生を車に乗せて強制わいせつ行為を行った件、13歳の少女に対する自宅での2回に及ぶ性的暴行、17歳の少女に対する強制わいせつの3件の事件で起訴されすべて有罪判決がでました。そして裁判所は判決文で

「被告人は有名タレントとして、関心と羨望の対象となる点を悪用し、犯行に手を染めた。物理的行使は行っていないと主張しているが、被害者全員が当時19歳未満で、思慮分別に欠けた青少年であった点などを考慮すると、犯罪と認められると同時に、その罪は軽くない」

と,指摘しています。今回の判決は、5年間実刑で懲役し、さらにその後10年間は常に電子足輪をつけて生活するというものです。電子足輪というのはGPSと移動通信網を利用してリアルタイムで位置追跡の可能な装置です。捜査機関が常習の性犯罪者、殺人・誘拐の前科者を監視するために装着させるものです。電子足輪は着用するというだけで犯罪心理を抑える効果があり、再犯防止につながるといわれています。電子足輪は実際に足につける足輪、非常時に保護管理官と連絡をとる携帯電話の形をした追跡装置、家に置く監督装置の3つの部分で1セットになっています。

法務部の位置追跡管制センターには電子足輪から送られてくる位置情報が赤い点で表示され、その人が今、どこにいるのか分かるようになっています。
電子足輪法改正案は2008年9月に施行され、去年は1036人が新たに電子足輪を装着し、累積使用者数は2292人に及びます。

思ったよりも多くの人が、この電子足輪をつけていることに、改めて驚きました。ただこれまでに、当局の知らない間に足輪をはずしていたというような事も起きています。
ただ、芸能人で電子足輪の着用命令がでたのは、今回のコ・ヨンウク被告が初めてでした。また裁判所は着用以外にもこんな順守事項もつけています

電子足輪を着けると、コ氏の居場所は保護観察所で把握できるようになる。地裁は電子足輪の着用中、夜間外出の制限や児童保育施設への接近禁止、過度な飲酒自制などの順守事項も科した。

また芸能人にこのような判決が出たことに対してマスコミは

コ被告に対する判決は最近、芸能人の性犯罪に対し厳重な対応を求める声が反映されたものとみられる。芸能人の犯罪は青少年に大きな影響を与える可能性があるため、厳しい法の適用が必要との指摘が強まっていた。芸能マネジメント関係者は「芸能界の性犯罪が際立つ側面もあるが、芸能人の社会的な影響力を考えると、自ら反省する姿が必要」と指摘した。

と報道しています。コ被告はすでに控訴しており、上級裁判所の判断によっては判決内容が少し変わるかもしれません。
それにしてもこのニュースを聞いたとき、少し被告が可哀想になりました。一般の犯罪者の場合、実際に累積2300人の人間がこの電子足輪を着用していたとしても、その人たちの名前と顔は犯罪当初、マスコミに報道されたときだけで、正直その後は忘れられてしまいます。そして電子足輪自体はそんなに大きなものではないのでズボンの下にあれば見えることもありません。しかしコ被告の場合は名前も顔も知れ渡っています。電子足輪着用10年となれば、もう社会復帰はもちろん、街中を歩くこともできなくなるでしょう。懲役5年よりも過酷な部分だと思いました。韓国では芸能人などの有名人のことを、よく「公人」といいます。公の人間だと言うことです。公の、皆が見ている、注目している人間なので、人々の模範になるようにということです。そういう面ではまだ儒教精神が生きているのだと思いますが、人権と言う意味では疑問も残る気がします。

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