今、ニュースやインターネットで話題になっている人物、前からよく名前は聞いているけれども一体何をしている人物なのかよく分からないという人をマルコメの視線から3つのキーワードでご紹介していくコーナーです。 きょう取り上げるのは、Netflixの「黒白料理人」で一躍スターとなったシェフ、エドワード・リー(52)です。
黒白料理人 ~ 韓国で“スターシェフ”として大ブレイク
エドワード・リーは、アメリカで複数の高級レストランを経営するオーナーシェフであり、料理書の執筆や社会奉仕活動でも知られる人物です。しかし、活動の舞台は主にアメリカで、これまで韓国での知名度は高くありませんでした。
彼を一躍韓国で有名にしたのが Netflix のリアリティ番組「黒白料理人」(日本タイトル『白と黒のスプーン ~料理階級戦争~』)です。
白スプーンとして登場する20人の有名シェフの1人に選ばれ、最終2人まで勝ち残りました。
優勝はしなかったものの、世界的スターシェフである彼が 敢えて出演したチャレンジ精神、さらに 創意あふれる料理、謙虚で温かい人柄 が視聴者の心をつかみ、一気に“韓国のスター”となりました。
ソウル生まれ、1歳でアメリカへ移住し、ブルックリンで育ったリー。両親は英語だけで育てたため、韓国語は得意ではなく、番組出演のために3か月集中レッスンを受けたというエピソードも話題になりました。
ピビンバと豆腐料理 ~ 自分の“人生”と無限の創意性
番組で特に注目を集めたのが、第5ラウンドの 「人生を表現する料理」 と 「無限料理地獄」 でした。
人生を象徴する料理として彼が選んだのは、マグロのピビンバ。
「私はピビーム人間です」「多様な色と具材が混ざって一つの味になる。それが自分の人生だ」と語りました。
続く「無限料理地獄」では、テーマ食材は 豆腐。
30分ごとに1品ずつ、計6品を作らなければならない過酷なラウンドで、リーは前菜からメイン、デザートまでをすべて豆腐で構成。
松の実・アボカドのスープ、焼き豆腐とホタテ、スモーク豆腐とアヒル、豆腐コチュジャンパスタ、ケンタッキーフライド豆腐、ユズ豆腐のクレームブリュレまで、無限の創造力を韓国食材で表現しました。
アメリカ南部料理を得意としながらも、それをほとんど作らず、韓国食材を自由に再解釈した姿勢が多くの韓国視聴者から絶賛されました。
APEC首脳会談総括シェフ
番組の撮影のたびに、アメリカから22時間のフライトを繰り返しながら挑戦したリー。
番組後は人気が爆発し、2024~25年の2年間で ラーメン、冷蔵庫、コカ・コーラ、スターバックスなど10社のCM に出演。“謙虚なスターシェフ”として多くの企業から起用されました。
社会活動にも熱心で、女性リーダー育成を目的とする団体を共同設立し、その功績で2024年の ジェームズ・ビアード賞・今年の人道主義賞 を受賞。
そして決定的だったのが、今年10月に慶州で開かれた APEC首脳会議の歓迎晩餐会 総括シェフ に任命されたことです。
ロッテホテルのシェフと共に、世界の首脳に韓国料理コースを提供しました。
外交部の公式映像で彼はこう語っています。
「料理は芸術であり、物語であり、人をつなぐ媒介です」
「人々が素晴らしい料理を分かち合うとき、険しい議論を続けることは難しい」
「料理が良い成果を生み出す助けになることを願っている」