ⓒ 출판 우리학교今日の絵本は、「ゾウをさわったら」(코끼리를 만지면)というタイトルです。
ゾウをさわるなんて、どんなシチュエーションなのでしょう。さっそく絵本のページを開いてみましょう。
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私はゾウを見たことがないんです。ゾウってどんな姿なんですか。
ⓒ 출판 우리학교――ゾウは鼻が長くて、地上の動物のなかで一番大きいのよ。
鼻が長いですって? 蛇口についたホースみたいに、それとも、掃除機みたいに?
地上で一番大きいですって? そしたら6階建ての建物くらい?
それとも、大きな船と同じくらいかな。
体が大きいなら、足もすごく大きいんだろうな。足の裏は固いのかな。
そんな体でどうやって草と果物だけ食べて生きてるんでしょう。
考えれば考えるほど気になります!
――じゃあ、会いにいってみようか。でもどうやって会いに行く?
私、地図を描きます。
道はたくさんあるから心配しないで。
では出発!
最初は飛行機に乗って。そこからバスに乗り換えて。
そして……ついに、会えた!
ⓒ 출판 우리학교――さわってごらん。最初に鼻をさわって、顔と足もさわってごらん。
ゾウの皮膚ってしわしわで、ごつごつしてる。
鼻をさわったら、手が鼻のあなにスポッと入っちゃった。じっとりしていて、手がどこまでも入っちゃうくらい大きくて……その中で風が吹いてました。
さわってみて分かった。ゾウは鼻が長くて、耳は丸っこい。足は太くてずっしりしてる。
長い鼻、丸っこい顔、太い足、全部あわせたらこんな形かな?
ゾウは、こんな姿をしています。
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ⓒ 출판 우리학교登場人物の子どもたちは、ゾウを一度も見たことがないといいます。そのゾウを知るために、直接さわりに行くとは、どういうことなのでしょう。
じつはこの絵本は、美術家のオム・ジョンスンさんが視覚障害のある子どもたちと一緒に10年以上おこなっている「ゾウに触れる」(코끼리 만지기)というプロジェクトから生まれた絵本なんです。
オムさんは芸術家として「見るということは何だろう」というテーマを抱えつつ、盲学校の生徒たちとともにアート教室を実施してきました。まずは教室でゾウを見たことがない子どもたちとさまざまな質問を交わし、想像力を膨らませます。そしてみんなでタイのチェンマイにあるゾウ自然公園を訪れ、数日間過ごしながら、ゾウと触れあうのです。
ⓒ 출판 우리학교そうして子どもたち自身が想像して、感じて、さわることで知ったゾウを、絵の具や粘土を使って作り上げます。そこには、私たちが目で見て知っているゾウというものを超えて、ユニークで独創的なそれぞれのゾウの姿があります。クレヨンで描かれたざらざらした皮膚の絵や、あるいはカラフルな渦巻きの絵。そして粘土で作られた、黄色くて突起のついたものや、ひょろっと細長いもの。そんなふうに、視覚障害のある子どもたちが描き出したゾウの作品たちで、この絵本は作られています。
あとがきにある作者のこんな言葉がとても印象的でした。
「人間はだれしも自身をイメージで表現したいという欲求があります。そして、表現されたイメージは五感の結果物であり、視覚はその一部にすぎません。美術は、吸収する準備ができているその他の感覚を機能させる媒介としての役割を果たします」
本当に素晴らしい想像力と創造力で作られたこの絵本は、先月発表された「2025大韓民国絵本賞」で特別賞を受賞しました。
そのうち日本語でも翻訳されて皆さんが直接読んでいただけたらいいなと思いながらご紹介しました。