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ライフスタイル

事前免税店&事後免税店

2015-11-18

玄海灘に立つ虹

事前免税店&事後免税店
先日、ソウル市内の3カ所の免税店の新たな事業主が発表されました。ロッテと新世界、斗山が選定されました。これでロッテは明洞店は維持したものの、ワールドタワー店は事業権を失いました。またSKは完全に免税事業からの撤退を余儀なくされてしまいました。
発表直後、まず株が大きく変動します。新たに事業権を得た会社の株は上がり、失った会社の株は急落しました。そして20年近く営業をしてきたSKとロッテのワールドタワー店は、そこで働く職員、協力会社、海外の取引相手にも大きな衝撃が走りました。
ソウル蚕室のロッテワールドタワー店で働いている32歳のマネージャーは
こんなことがあっていいんですか。ここで働いている職員だけでも1300人なのに、年末に職を失うんですよ。
と語っていました。ワールドタワー店は ロッテの明洞店、そして新羅免税店に続き、業界第3位、去年の年間売り上げ4820億ウォンを記録しました。発表のあった日も売り場は大勢の買い物客でにぎわっていました。そのため今回の発表はまさに「まさか」という感じで伝わり、代表から末端の職員まで皆が涙をにじませたといいます。
関税庁は事業権を失った免税店に関しては雇用の問題、そして在庫処理の問題を解決するために最長6ヶ月間の猶予を与えていますが、それでも来年の6月までに店を閉じなくてはならないことに変わりはありません。
また新たに事業権を得た新世界と斗山も決して喜び一杯というわけではありません。それは5年後にはどうなるか分からないからです。現在のように5年ごとの契約に関しては疑問の声も出ています。大学の経済学の教授は
免税店は代表的なグローバル競争業種なのに5年ごとに事業主を変えていたら、誰が本気で投資をしますか。海外の企業と競争する半導体や自動車産業から国内で独占していると言って事業権を奪うのと同じことです
免税店協会の前会長も
免税店を成功させるには最低でも10年はかかるのですから、余程の問題がなければ延長するべきです
と語っています。一方で免税店に関する新しい動きも活発化しています。これは事後免税店の増大です。事後免税店というのは外国人が品物を買うと、その場ではなく空港で消費税や付加価値税を換金してもらう店舗のことで、現在の市場規模は年間2兆5千億ウォンほどです。
この制度、日本ではタックスフリーショップ、消費税免税店と呼ばれており、2020年のオリンピックを前に政府も積極的に進めている政策です。韓国でも今後はこの事後免税店が大きく増加する見通しです。事後免税店は普通の免税店と違い、申告さえすれば誰でも営業が可能です。
そのため現在では韓国でも特に外国人観光客の多く集まる明洞や東大門などで事後免税店がコンビニや雑貨店、薬局などにも広がっています。セブンイレブンは去年の4月から業界で初めて、外国人観光客が3万ウォン以上の品を購入し3ヶ月以内に出国する場合、品物にかかった税金を返す制度を導入しています
セブンイレブンはソウルの明洞店、済州、釜山などの28の店舗をタックスリファンド(Tax Refund)サービス店として営業しています。セブンイレブンの関係者は
外国人観光客の増加で主要観光地に位置するコンビニでも観光客の利用が増加しています。外国人観光客向けの多様なサービスをこれからも増やしていく考えです
と言っています。韓国政府も空港での手続きが面倒だという外国人観光客の声を反映して来年1月1日からは、事後免税店に関しても購買と同時に免税にする「事前免税制度」を取り入れていく計画です。
事後免税店も購入と同時に免税になる事前免税になるとすれば、今回大騒ぎをして事業権を得た大型免税店といったいどんな違いがあるというのでしょうか。結局、大型免税店では外国の有名ブランドの高価な商品を扱い、町の事後免税店では値段の安い食品や化粧品を買うようになるというのが今後の展開のような気がします。それにしても一夜にして閉店が決まってしまったソウル市内の二つの免税店、そこで働く人のことを思うとなんとも気が重くなってしまいます。

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