ⓒ ウィズダムハウスきょうは「雲のばんそうこう」(구름 반창고)という絵本のご紹介です。
子どもの頃、転んですりむいたり、小さなケガをしたりすると、よくこんな言葉を聞きましたよね。「痛いの痛いの、飛んでけー!」。
本当に一瞬で痛みが飛んでいってくれたらいいのになあ、なんて思ったりもしました。
そんな傷によく効く不思議なばんそうこうの物語です。
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一日中降った雨がやみ、すっきり晴れたある日のこと。
おばあさんは空に残っていた雲を取ってきて、ばんそうこうを作ります。
じめっとした雨雲でもなく、がっちり身の詰まった入道雲でもない、しっとりとやわらかな雨上がりの空の雲は、ばんそうこうにぴったりなのです。
テープの真ん中に少しずつちぎった雲を詰めて、ちょうどいい大きさに切って。薬箱いっぱいにばんそうこうが出来上がりました。
ⓒ ウィズダムハウス「えーん、えーん、痛いよー」
外で元気に遊んでいた子どもたちの中から、泣いている声が聞こえてきました。
「あれまあ、転んでひざをすりむいたんだね」
さっそく、おばあさんの作った雲のばんそうこうの出番です。
雲のばんそうこうは、とても不思議な力があります。
ケガしたところに貼ってフーッと息を吹きかけると、雲が傷を包んでフワリと浮かび上がります。そして、もうちっとも痛くなくなります。ぶつけた傷も、切り傷も、雲一つない青空のように、きれいに治ってしまうのです。
ⓒ ウィズダムハウス「もう大丈夫!」
元気に駆けだしていく子どもたちを見送っていると、また、どこかで小さな泣き声が聞こえてきました。
木の下で一人、膝を抱えている子どもでした。
「おばあさん、胸がずきずきするのもばんそうこうをつけたら治る?」
「おやおや、心に怪我をしたんだね」
おばあさんは、雲のマシュマロを浮かべた温かいココアを淹れてあげて、その子の話を聞きました。
「あのね、お友達がね……私のことを置いてぼりにしてね……」
おばあさんは黙ってうなずきながらその子の言葉に耳を傾けます。
ⓒ ウィズダムハウスしばらくして、おばあさんは雨雲色の鉛筆で、その子の手の甲に小さく「かなしい」と書いて、雲のばんそうこうを貼りつけました。
心についた傷は、いつもよりも大きく息を吹きかけてあげなければなりません。
おばあさんはばんそうこうを貼った子どもの手を、両手で包み込みました。
いち、にの、さん、フウウー!
すると、部屋いっぱいに大きな雲が浮かび上がりました。
心の中から出てきた霧の雲です。これが晴れれば、心の傷もよくなるでしょう。
「さて、一緒に外に出てみようか。お友達が待っているだろうよ」「ほんと?」
子どもの顔に小さな笑みが浮かびました。
きょうも、おばあさんの不思議なばんそうこうのおかげで、カラリとした一日になりそうです。
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こんなお話でした。
本当に、こんな風に一瞬で傷を治してくれるばんそうこう、痛みをやわらかく包み込んでくれる雲があったらいいですね。でも本当は、あったかいココアを淹れてくれて、黙って傷ついた気持ちを聞いてくれる、このおばあさんのような存在が一番の治癒になるのかもしれません。
色鉛筆で描かれたかわいらしい絵柄の絵本ですが、子どもだけでなく、大人にもやさしく寄り添ってくれる、そんなお話でした。