中国で猛威を振るう大気汚染が韓国にも影響を及ぼしていること受けて、韓国政府は、この問題で中国政府と協力していくことを検討しています。
韓国では、21日から大気汚染の原因となる微小粒子状物質の濃度が高まり、基準値を超える日が1週間以上続きました。
韓国の西の海、西海で高気圧が発達し、中国で発生した微小粒子状物質が韓国に流れ込む気圧配置になってたのに加えて風も弱く、韓半島上空に微小粒子状物質が長期間に渡ってとどまる結果となりました。
韓国は、微小粒子状物質について、五つの段階に分けて予報を出しています。
大気1立方メートルあたりの微小粒子状物質の平均濃度が、0~30マイクログラムは「良好」、31~80マイクログラムは「普通」、81~120マイクログラムは「やや悪い」、121~200マイクログラムは「悪い」、200マイクログラムを超える場合は「非常に悪い」の5段階になっています。
「やや悪い」の段階では、不要な外出や屋外での長時間の運動を控えるよう勧告しています。
韓国では21日から全国各地で、「やや悪い」または「悪い」の状態が1週間以上続きました。
微小粒子状物質は、例年5月ごろまで濃度が高くなる日が続く傾向があり、今後ともその影響を避けることはできないと予想されています。
微小粒子状物質は、人の呼吸器系に沈着し、健康に影響を及ぼすとされています。
微小粒子状物質の濃度が高いほど、呼吸器疾患や心疾患による死亡率が高くなるという報告もあります。
微小粒子状物質には、砒素、カドミウム、鉛などの重金属も含まれていて、目に入った場合や皮膚に触れた場合などに、アレルギーを起こすことも報告されています。
人の健康に影響を及ぼす微小粒子状物質が流れ込んでくるのを根本から遮断する方法は今のところありません。
韓国政府はこの問題で中国政府と協力していくことを検討していますが、発生源で微小粒子状物質の発生を減らすのは事実上困難で、結局は関連情報を交換し合うことに重点が置かれるものとみられます。
迅速かつ正確な予報で、事前に備えることが、今のところ最も現実的な方法です。
微小粒子状物質は、その移動経路や拡散の仕方などを分析し、予報の正確度を上げるためには、中国での正確な観測資料が欠かせません。
環境部の関係者は、微小粒子状物質について、予報よりも実際の濃度が高い場合が頻繁に起きたとして、中国との協力でより正確な情報を事前に入手すれば、予報の正確さを高めることができるとしています。
韓国としては、今年4月に韓国で、韓中環境相会議を開催し、中国側に協力を求めることにしています。