韓国政府は、来年2015年1月1日からコメの例外なき関税化を実施することになり、コメ輸入の関税率を513%とすることを、18日、決めました。
コメは、韓国でも日本と同じように農業の最重要部分となっていて、1994年4月のウルグアイラウンドで、「例外なき自由化」の例外と認められました。
しかしコメの輸入を関税化しない代わりに、ミニマムアクセス=最低輸入量制度を受け入れることで、毎年一定量の輸入が義務付けられました。
韓国は、当初1995年から2010年の期限でミニマムアクセス制度を受け入れましたが、その後、ことし2014年末までに期間を延長し、今年末で期限が終わります。
韓国政府がミニマムアクセス制度を受け入れたのも、また、例外なき関税化を実施することにしたのも、国内の農家へのダメージを避ける狙いがあります。
外国米は韓国米に比べると大きく安いため、そのまま韓国に入ってくると、韓国のコメは売れなくなります。
コメの例外なき関税化を実施することにしたのは、輸入米に高い関税をかけることで、市場価格が韓国米よりも高くすれば、韓国米も十分価格競争力を確保することができるからです。
政府は、関税率513%はWTOの農業協定で許容される範囲内で最も高い関税率だとしています。
513%の関税率を適用すれば、アメリカから輸入するコメは80キロ38万ウォン程度、中国から輸入するコメは80キロ52万ウォン程度となり、韓国米の産地価格を上回ります。
関税率を513%にすれば、韓国米も十分価格競争力を確保することができるというのが政府の判断です。
韓国政府は、こうした方針を今月中にWTO=世界貿易機関に通知することにしています。
関税率などを通知すると、WTOの検証手続きが始まりますが、検証期間は最短でも3か月かかります。
加盟国の異議申し立てがある場合、検証にはさらに時間がかかり、日本の場合は2年以上かかっています。
そして今年中に検証が終わらない場合でも、韓国は来年から輸入されるコメについて、ひとまず513%の関税を適用することになります。
国民がコメを主食とし、コメが農業の大きな収入源となっている韓国としては、食糧の安全保障、農家の保護という観点から、コメの関税化を避けてきましたが、コメの関税化をさらに先延ばしにする場合、最低輸入量を増やさなければならず、政府は、これが必ずしも韓国にとって得策ではないと判断しています。
一方、政府はコメの関税化に伴って、農家に対する補助金の支給額を引き上げるなどの対策を発表しましたが、農民団体などは強く反発しています。
農民団体は、政府がこうした方針を発表した18日、政府庁舎前で、コメの関税化を阻止するための無期限座り込みを始めました。
農民団体は、27日にはソウル市庁舎前で、コメの関税化に反対する全国農民大会も開くことにしています。