韓国政府は全国的な干ばつに対処するため、4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)の堰(せき)にためた水を干ばつ地域に供給する事業を拡大する方針を決め、4大河川の支流の整備が再開される見通しとなりました。
これに対して、野党新政治民主連合は、4大河川を整備すれば水資源を確保できるとした李明博政権の主張は間違っていたことが確認され、税金の無駄遣いだとして強く反発しています。
政府と与党セヌリ党は14日、水不足対策として4大河川を活用することを決めました。
国土交通部の柳一鎬長官は、現在4大河川と貯水池を連携して運用しているが、水不足を恒久的に解消するためには、4大河川だけでなく、全国12の主要河川と貯水池などを連携して運用する必要があると指摘するとともに、地下ダムの開発など、代替水資源の開発も急ぐ必要があると指摘し、まずは水不足になっている地域を中心に貯水池の浚渫(しゅんせつ)などを進めるとしました。
また、与党セヌリ党は、4大河川の水資源を飲み水や農業用水などに総合的に活用するために支流の整備を進める必要があるとしました。
政府と与党がこうした方針を決めたのは、ことしは降水量が平年に比べて少なく、一部の地域で深刻な水不足になっているためです。
韓国では春から降水量が少ない状態が続き、全国の大部分の地域で平年の降水量を下回っていて、地域によっては平年の30%程度にとどまっているところもあります。
全国の主要貯水池は、貯水量が半分に満たないところも多く、中には20%以下の貯水池もあります。
その結果、各地で農業用水が不足し、地域によっては飲み水も不足しています。
水不足現象は地球温暖化とも関係があり、長期化する可能性があるとの分析も出ていて、短期的な対策ではなく、長期的な対策が必要だと指摘されています。
ただ、4大河川の整備について、野党や市民団体は強く反対しています。
4大河川の整備は李明博政権で進められました。
河川を整備し、水害を予防するだけでなく、水資源を確保することが目的でした。
当時、野党は、その実効性や経済性に疑問を提起し、市民団体は環境破壊などの問題を指摘するなどして、反対しました。
その結果、最終段階である支流の整備などは進められないまま、事業は中断しました。
政府と与党は、4大河川の水資源を十分活用するために支流の整備を進める必要があるとしています。
野党新政治民主連合は、4大河川を整備すれば水資源を確保できるとした李明博政権の主張は間違っていたことがすでに明らかになったとして、今になって支流の整備まで進めるのは税金の無駄遣いだとして強く反発しています。
政府と与党は4大河川の支流の整備を進める方針ですが、その過程では野党や市民団体の反対が予想されています。