今年から賃貸物件の大家の了解なく「チョンセ保障保険」に入ることができるようになるということで、これが注目されています。
韓国では住居の賃貸契約をする際、高額の保証金(=チョンセ)を支払って月々の家賃は支払わない方法と、保証金は少額しか収めないかわりに月々の家賃(=ウォルセ)を支払う方法があります。また、これらの中間で、ある程度高額の保証金を収め、月々の家賃も少額ずつ支払う半チョンセというシステムもあります。原則として保証金は退去時に全額払い戻されるので、賃借人にとっては結果的に家賃負担がゼロであるチョンセの需要がほとんどでした。また、賃貸人にとっても、以前は金利が保証金を運用して利益を得られていたので、チョンセは不利なシステムではありませんでした。ところが、賃貸人が運用で利益を得るのが難しくなったためチョンセ物件が減り、チョンセで借りられたとしても家族で暮らすようなアパートの場合少なくとも3億ウォンは出さなければならないなど、チョンセに係る問題が噴出するようになりました。
チョンセ額が上がるにしたがって、今度は、一度預けたチョンセもしくは保証金を守る必要が深刻化してきました。というのも、賃貸人が物件を担保に借金をしている場合、賃貸人が借金の返済不能になった時に保証金が返ってこなくなる可能性があるのです。そのため、もともとチョンセや保証金を守る簡単な手段として①確定日次を受ける(役場もしくは登記所で契約書に証明印をもらうと、ソウル市の場合最高3,400万ウォンまで保障される。ウォルセで契約した場合によくとられる手段)②チョンセ権を設定する(登記する必要があり、設定および解除の際に数十万ウォン以上の費用が発生するが、チョンセが優先的に保護される。しかし、登記するため貸主が嫌がることが多い)……といった方法がとられてきました。しかし、これらはあくまで最低限の方法であり、最近ではチョンセおよび保証金を全額保障するための民間の保険商品が多く登場しています。チョンセ保険の最大手では、加入件数は年々増加しており、5年前に比べて昨年の加入件数が1.5倍以上になったと発表。さらに、今年から大家に許可を取らずとも加入できるようになったことで、加入者はますます増えると見られています。チョンセ額の高騰や不安定な経済状況を考えると、自分が出す保証金は自分で守らなければならないという意識が高まるのでしょう。