韓国電力公社は6日、東芝の子会社であるイギリスの原子力発電事業会社「ニュージェネレーション」の買収をめぐり、東芝と優先的に交渉する相手に選ばれたと発表しました。
韓国電力公社によりますと、「ニュージェネレーション」の買収をめぐり、
今後数か月間、東芝と優先的に交渉することになるということです。
「ニュージェネレーション」の買収をめぐっては中国企業も買収の意向を示し、
韓国電力公社と競合していました。
「ニュージェネレーション」は東芝ウェスティングハウス傘下の子会社で、
イギリス中部のセラフィールド近郊に新規の原子力発電所を建設する計画です。
東芝は2006年にアメリカの原子力発電関連企業「ウェスティングハウス」を買収、イギリスの新規原発建設の受注に取り組みましたが、各種の規制強化などで損失が拡大し、ことしに入ってから「ニュージェネレーション」を手放すことを決めました。
韓国電力公社が「ニュージェネレーション」を買収すれば、
イギリス政府の新規原子力発電所建設で優先的に交渉する相手になります。
韓国電力公社は、新規原子力発電所建設の受注が決まったものではなく、
東芝との交渉がまとまり、イギリス政府の承認が得られれば、来年上半期にも契約を結ぶことができるとの見通しを示しました。
韓国電力公社は、受注が決まれば、2030年までに原子炉3基の建設を終え、
年間3.6GWの電力を供給するとしています。
受注が決まれば、韓国電力公社としてはアラブ首長国連邦に続いて2件目の原発の海外輸出になります。
建設する原子炉は韓国電力公社が独自に開発した「APR1400」をヨーロッパ連合の基準に沿って改良したもので、ことし10月にヨーロッパ連合の認証を取得しました。
「APR1400」は韓国で建設中の新古里原発でも使われる原子炉です。
韓国電力公社はイギリスやチェコなどで原発輸出に取り組んでいました。
ヨーロッパでは新規原発建設の需要が増えています。
韓国電力公社が「ニュージェネレーション」を買収し、イギリス政府の新規原子力発電所建設を受注することになれば、ヨーロッパ各国で新規原発建設を受注することにもつながるものと見られます。
問題は資金を確保することです。
イギリスの新規原子力発電所建設では、事業者が建設に必要な資金を確保し、
原発が完成したあとに電力を供給する過程で資金を回収することになっています。
建設費はおよそ2000億円に上ると見込まれています。
イギリス政府の新規原発建設を受注するには、資金を確保することが何よりも重要で、韓国電力公社は「ニュージェネレーション」の買収が決まれば、他の関連企業と連合して資金を確保していくものと見られます。