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廉想涉(ヨム・サンソプ)の短編小説「二つの破産」

#ラジオ図書館 l 2018-09-04

ラジオ図書館

ⓒ Getty Images Bank


#インタビュー : ソウル大学国語国文学科 パン・ミノ教授

小説「二つの破産」は、1949年8月に発表されました。この時期の韓国社会は混乱し、文字通り、激動の時代でした。日本による植民地支配から解放された3年後の1948年、南北に分かれていた韓国と北韓にそれぞれの政府が樹立しました。南北韓国の政治的体制が整うと、理想や理念の問題より経済、つまり個人の暮らしが関心の対象となります。当時、作家、廉想涉(ヨム・サンソプ)は、本能的な利己主義の社会が到来すると見ました。翌年、彼が発表した小説「二つの破産」には二人の女性が登場します。その一人、小さな文具店を構え、生計を立てようとしたジョンレの母親は借金を返せず破産してしまいます。ところが、作者は幼なじみの店やお金にまで欲を出すもう一人の女性、オギムの精神的な破産、人間性の破産をより深刻な問題だと受け止めているのです。



ジョンレの母親は学校の近くの路地に

小さな文具店を構えます。

その過程で、幼なじみのオギムと、

校長出身で、今は高利貸しとなった男性から借りた

借金の返済を督促されています。



ジョンレの母親はあきれてものも言えなかった。


このままではこの小さな店はおろか、

家まで取られてしまうのではないかと思うと

ぎくっとするのだった。


借金とは縁のない人生だったが、

のらりくらりと遊んでいる夫を頼りにするわけにもいかず始めた店だ。

銀行から借りた30万ウォンがそのままで、

オギムに22万ウォン、

校長の爺さんに5万ウォン、

全部で57万ウォンの借金を抱えこんでいると思うと、

ジョンレの母親は夜も眠れず、いっそのこと死んでしまおうかと思うのだった。


정례 어머니는 기가 막혀 말이 나오지를 않았다.


이러다가는 이 구멍가게나마 들어먹고

집 한 채 남은 것마저 까별려지지나 않을까 하는 생각을 곰곰하면

가슴이 더럭 내려앉는 것이었다.


평생에 빚이라고는 모르고 지냈는데

펀펀히 노는 남편만 바라보고 있을수가 없어서 시작한 노릇이라

은행에 삼십만 원이 그대로 있고

옥임이에게 이십이만원,

교장 영감에게 오만원,

도합 오십칠만원 빚을 어느덧 걸머지고 앉은 생각을 하면

밤에 잠이 아니 오고

앞이 캄캄하여 양잿물이라도 먹고 싶은 요사이의 정례어머니다.



物質主義が支配するようになった世の中で、

経済的に破産したジョンレの母親、

そして、欲に目がくらみ、精神的な破産状態に至ったキム・オギム。

その姿は、小説「二つの破産」が発表され、

70年が過ぎた今を生きている私たちの自画像なのではないのでしょうか。




作家:廉想涉(ヨム・サンソプ)(1897.8.30.~1963.3.14.、ソウル生まれ)

1921年 小説「標本室のアマガエル」を通じて文壇にデビュー

自然主義、リアリズム主義文学を披露した韓国最初の小説家。

アジア自由文学賞、大韓民国芸術院賞などを受賞。

1949年 文芸誌「新天地」を通じて「二つの破産」を発表。

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