映画『マイ・スイート・ハニー』
2024-05-01
時は新羅王朝38代目の王、元聖(ウォンソン)王の時代でした。
夜遅くまで興輪寺(フンリュンサ)の石塔を回りながら
熱心に祈りを捧げている金現(キム・ヒョン)という青年がいました。
後ろの方から足音が聞こえ、振り向くと、
一人の美しい娘が石塔を回りながら何やら熱心に祈っていました。
金現(キム・ヒョン)は初めて見るその娘に一目惚れしてしまいました。
夜が更け、金現(キム・ヒョン)は娘を家まで送っていきました。
「ここが私の家です。では...」
「一晩だけ泊めてもらえませんか。お腹も空いているし、夜の山は危ない」
その時、家からおばあさんが出てきました。
「夜も更けたことですし、ひとまず中にお入りください」
ご飯を食べた後、金現(キム・ヒョン)は布団に入りました。
その時、庭の方から男たちの声が聞こえてきました。
金現(キム・ヒョン)は戸の隙間からそーっと下の様子をうかがってみました。
何とそこには大きな三頭の虎が娘といっしょに座っていたのです。
急に虎たちが鼻をひくひくさせながら臭いを嗅ぎ出しました。
「これは確かに人間の臭いだ。ああ、うまそうな臭いだ」
その時、空に稲妻が走り、雷鳴が轟き、大きな声が聞こえてきました。
「まだむやみに人を殺めようとするのか!もう許さぬ!
今日こそお前たちに天罰を下そう」
その時、娘が進み出ました。
「兄さんたちの代わりに私が罰を受けます。
ですから、どうか兄さんたちをお許しください」
「いったい何事です?」
「私は兄さんたちと同じく虎です。
私も人になってあなたといっしょに暮らしたいと思いました。
しかし、大きな罪を犯した兄さんたちの代わりに天罰を受けなければなりません。
明日、私は虎になって王宮の近くにある村を襲います。
その時、あなたは北の森まで私を追いかけ、そこで私の命を断ってください」
翌朝、娘の言ったとおり王宮の近くに虎が姿を現わし、暴れ出しました。
しかたなく、金現(キム・ヒョン)は刀を手に虎を追いかけました。
虎を退治した金現(キム・ヒョン)はその功績を称えられ、
高い官位につくことができました。
しかし、彼はいつまでも虎の娘を忘れることができませんでした。
そして、娘の願いどおり、お寺を建て、虎願寺(ホウォンサ)と名付け、
愛する者たちのために命を捧げた虎娘の成仏を祈願した、とさ。
2024-05-01
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