セウォル号惨事から10年、記憶と記録
2024-04-19
昔々、オグ大王が治める王国のお話です。
オグ大王は美しいギルデ夫人と出会い、結婚しました。
オグ大王は世継ぎとする王子の誕生を期待していましたが
生まれてきた6人の子はみんな女の子でした。
そして、数年後、オグ大王とギルデ夫人の間に7番目の子が生まれました。
ところが今度も待っていた王子ではなく、姫でした。
オグ大王はもう娘は要らないと言って、7番目の娘を見向きもしませんでした。
「その子の名はバリデギだ!捨てられた子、バリデギだ。捨ててしまえ!」
ギルデ夫人は腕の良い職人を呼んで玉の箱を作るよう言いつけ、
7番目の娘を玉の箱の中に寝かせ、涙を流しながら命じました。
「この箱を川に流しなさい」
砂浜を歩いていた老夫婦が亀が置いていった玉の箱を見つけました。
おばあさんとおじいさんはバリを大事に育て、バリは15歳になりました。
その頃、バリの産みの親であるオグ大王とギルデ夫人は重い病を患っていました。
どんな薬を使ってもさっぱり良くなりません。
そんなある日、臣下の一人が、ある高僧から聞いた話を伝えます。
二人の病は7番目の姫を捨てた天罰だというのでした。
オグ大王とギルデ夫人は死ぬ前に娘のバリに会って許しを乞いました。
「お父様、お母様。私が冥土へ行き、泉の水を汲んでまいります」
バリは冥土へ向かうために王宮を出ました。
バリが途方に暮れていると、どこからかカラスとカササギの群れが現われ、
ついて来いとでもいうようにバリの頭上で羽ばたくのでした。
バリはカラスとカササギの群れについて歩き始めました。
冥土への道はとても険しいものでした。
バリは12の峠を越え、小さな渡し船に乗って危ない川を渡り、虹の橋を越えて
冥土の入口にたどり着きました。
ところが泉の前には冥土を守る大きな門番が立ちはだかっていました。
「門番さま、冥土の泉の水だけが私の両親の病を治すことができるんです。
お願いです。少しだけ分けてください」
「なら、今から3年間、毎日薪を集めて火を焚き、川の水を汲んできなさい。
そしたら泉の水を分けてあげましょう」
約束した3年が経つと、門番は冥土の泉の水とともに3つの薬草を入れた袋を
バリに手渡しました。
バリは愛する夫と子どもといっしょに王宮に帰っていきました。
ところが、オグ大王とギルデ夫人はすでに亡くなっていました。
バリは冥土の泉から汲んできた泉の水を亡くなった父親と母親の口に含ませ、
3つの薬草を取り出して二人のカラダに塗りました。
すると、オグ大王とギルデ夫人は息を吹き返し、血の気が引いた顔が
赤らんでくるではありませんか。
「バリ、私たちはお前を捨てたのに、そんな私たちを助けたのか...」
「娘として当然のことをしたまでです」
王宮を出たバリは、自分を育ててくれたおじいさんとおばあさん、
そして冥土で出会った夫と子どもといっしょに、末長く、幸せに暮らした、とさ。
2024-04-19
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