メニューへ 本文へ
Go Top

歴史

対話の糸口を掴んだ南北韓国

2015-07-14

対話の糸口を掴んだ南北韓国
日本による植民地支配から解放された直後の南北分断以降、互いのイデオロギーや体制を認めず、激しい対立を続けていた韓国と北韓。そんな南北韓国の関係にちょっとした変化がありました。今から43年前の1972年7月4日、韓国と北韓が韓半島の統一に関して、初めて同時声明を発表したのです。

自主的、平和的、民族の団結を原則とした韓半島統一を目指すという内容の「南北共同声明」。南北韓国の共同声明によって、韓国の人々は平和的な統一に向ける期待に胸を膨らませました。しかし、そんな期待も束の間、共同声明があった翌年の1973年、北韓は韓国との対話を拒否し、南北韓国の関係は再び冷え込んでしまいました。時は流れ、共同声明から12年が経った1984年。冷え込んでいた南北韓国の関係を回復できるかも知れない出来事がありました。長い間、韓国との対話を拒否していた北韓が大雨で大きな被害を被った韓国の被災者に対して支援物資を送りたいと提案してきたのです。

1984年9月、ソウル地域に降った集中豪雨で韓国は350万人の被災者が発生するなど、甚大な被害を被りました。これに対し、北韓の赤十字社は支援物資という予想もしていなかった提案をしてきたのです。韓国内では豪雨による被害に対する支援と復旧が完了に近い段階にありましたが、大韓赤十字社は、この提案が南北関係を改善する糸口となるという判断から、北韓の提案を受け入れ、実務接触を提案しました。3週間ほどが経った1984年9月29日、南北分断以来、関係が跡絶えていた南北韓国で初めての交流が実現しました。

時間を2年ほど遡ってみましょう。1980年代に入ってから韓国は北韓との関係改善に積極的に臨むようになります。1982年1月22日、韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン)政府は国政演説を通じて、北韓に対して「民族和合民主統一方案」を提案します。韓国政府は、「民族和合民主統一方案」の中で、南北総選挙を経て南北が一つとなった民主共和国を目指していくための過程を提示しました。そして、その年の2月1日、20項目から成る具体的な事業も提議します。ソウル-平壌(ピョンヤン)間の道路の開設や離散家族の手紙の往来および再会、南の雪嶽山(ソラクサン)と北韓の金剛山(クムガンサン)に南北が共有できるリゾートの造成、さらに韓国の仁川(インチョン)港と北韓の南浦(ナムポ)港の開港など、破格の内容が入っていました。しかし、北韓はこれを拒否し、次いで1982年2月10日、南北それぞれ50人ずつ、政治家100人で構成された連合会議を提案してきました。北韓がこうした提案をしてきた理由は、統一問題を論じるに当たって韓国政府を排除し、民間レベルで解決しようという意志の表れだったといえます。

韓国と北韓が統一に向けるそれぞれの意見を提示した翌年の1983年10月9日のことです。現在のミャンマー、当時のビルマの首都ラングーンで爆弾テロが発生しました。「ラングーン事件」と呼ばれるこのテロ事件でラングーンを訪れていた韓国の閣僚17人が、北韓の爆弾によって命を落としたのです。この事件によって南北関係はいっそう冷え込み、北韓は国際的な非難を受け、ますます孤立していきました。

衝撃的なテロ事件からおよそ1年が経った1984年、冒頭にご紹介したように、北韓は大雨で大きな被害を被った韓国に支援物資を申し出ました。そして、韓国は北韓の提案を受け入れ、南北対話を再会するきっかけを作ろうとしたのです。解決の糸口が見つからなかった南北韓国の対話は北韓の支援物資を韓国が受け入れたことによって再開されました。政府や民間レベルの対話がさまざまな形で行われるようになり、1985年、南北韓国は「故郷訪問団および芸術団の交換」に合意するに至り、さまざまな交流が行われるようになりました。南北の離散家族も再会を果たしました。3泊4日の日程で、南の35家族、北の30家族が懐かしい家族との再会を果たしました。南北合わせて1千万の離散家族のうち、ごく一部に過ぎませんでしたが、1985年の離散家族の再会は新しい南北関係の貴重な第1歩として記録されています。

南北離散家族の再会はその後、北韓の心境の変化によって15年間中断され、2000年に再開されました。そしてこれまで19回にわたって、2万2千547人が家族と再会しています。残念なことに2014年以降、再び冷え込んでいる南北関係によって、現在、離散家族の再会は中断されていますが、家族を想う人々の希望は消えていません。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >