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論点

検察の捜査権剥奪めぐり与野党対立続く

2022-04-16

ニュース

ⓒYONHAP News

韓国では、検察から捜査権を完全に剥奪する問題をめぐって与野党対立が続いています。

現在、国会で多数派を占める革新系与党の「共に民主党」は、検察改革の一環として検察の捜査権を原則的に廃止することを盛り込んだ刑事訴訟法改正案を4月の国会で成立させるとしていますが、尹錫悦(ユン・ソンヨル)次期大統領側は反対しています。

「共に民主党」は検察の直接捜査権を廃止することにした理由について、検察が捜査権と起訴権を独占し、権力を乱用していることの弊害が大きいと説明しています。

実は、検察の捜査権はすでに相当部分が警察に移管されています。

2020年に国会で成立し、2021年から施行された関連法によって捜査権の見直しが進み、腐敗事件など6大犯罪を除く一般的な犯罪については捜査権が警察に移管されました。

それまではすべての犯罪について検察が警察に対して捜査の指揮権を行使していました。

6大犯罪とは、不正腐敗、経済、公職者、選挙、防衛産業、大型惨事に関連した犯罪のことで、大統領令で定めています。

与党「共に民主党」が4月の国会で成立を目指している刑事訴訟法改正案は、6大犯罪についても検察から捜査権を剥奪することにしていて、捜査権を明示した検察庁法の条項もすべて削除されることから、検察はすべての犯罪について捜査権はなくなり、起訴権だけが残ります。

与党「共に民主党」は12日に開かれた議員総会で、検察の捜査権を剥奪する法案について4月の国会で成立を目指す方針を決定しました。

一方、捜査権剥奪に反対する尹錫悦次期大統領は翌日の13日、韓東勲(ハン・ドンフン)司法研修院副院長を次期政権の法務部長官候補に指名しました。

韓東勲氏はソウル大法学部を卒業し、司法試験に合格した後、2001年にソウル地検検事に任用されました。

2017年に朴槿恵前大統領とその友人を中心とした国政介入事件、いわゆる「崔順実ゲート事件」で、当時検事だった尹錫悦氏と共に特別検事チームに加わり、その後、尹錫悦氏を補佐してきました。

2019年には文在寅政権で法務部長官を務めた曺国(チョ・グク)氏の家族をめぐる疑惑の捜査を統括するなどして、与党「共に民主党」が最も忌避する人物ともされています。

次期政権で韓東勲氏が重用されることは予想されていましたが、法務部長官にまで抜擢されるとは多くの人は予想していませんでした。

「共に民主党」の朴洪根(パク・ホングン)院内代表は、「側近を法務部長官に据えることで、検察の権力を私有化し、強大な権力を持つ検察共和国をつくるという露骨な政治報復宣言だ」と批判しました。

韓東勲氏は指名後の記者会見で、検察の捜査権剥奪は必ず阻止しなければならないと強調しました。

韓東勲氏の指名は、共に民主党が検察の捜査権完全剥奪方針を決めたことに対抗する形となり、今後の政局に大きな波乱を呼び起こすものと予想されます。

捜査権剥奪は検察改革の一環として始まりましたが、昨今の政界の動きは改革ではなく単なる政争に変質したとする批判も出ています。

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