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第428話 フュージョン時代劇が一斉に放送されています

2017-06-22

玄海灘に立つ虹

第428話 フュージョン時代劇が一斉に放送されています
韓国の地上波3社が一斉に、朝鮮王朝時代を舞台にしたフュージョン時代劇をオンエアしています。

歴史的な背景をモチーフに仮想のストーリーを描いたフュージョン時代劇は、『成均館スキャンダル(邦題:トキメキ☆成均館スキャンダル)』(2010)をはじめ、『太陽を抱いた月』(2012)、『雲が描いた月明り』(2016)などヒット作が次々に出ているジャンルです。でも、地上波3社が同じ時代を舞台にした作品を一斉に放送するのは異例のことです。

まず最初に放送を始めたのは、MBCで、先月10日に始まった水木ドラマ『君主~仮面の主人~』です。朝鮮の水を独占する組織と戦いながら、聡明な国王となる皇太子の話です。組織から皇太子の身を守るため、王が皇太子に仮面をかぶせて育てるという独特な設定。ユ・スンホさん、キム・ソヒョンさん、INFINITEのエルくんらが出演。

次に『猟奇的な彼女』。SBSが先月29日から放送を始めた月火ドラマです。じっとしていられずしょっちゅう塀を越えて外に出てしまうおてんばなお姫様と、清に留学していた貴公子のラブロマンスです。これは2001年に公開された韓国映画『猟奇的な彼女』を、朝鮮王朝時代を舞台にリメイクしたドラマです。映画は韓国で一大ブームを巻き起こしましたが、日本でも2008年にドラマ化されたので、タイトルをご存知の方もおられるのではないでしょうか。朝鮮王朝時代のお姫様がお酒を飲んで道端でけんかしたりする、これまたユニークなドラマです。いまは軍隊にいるチュ・ウォンさん主演の「事前制作」ドラマです。

最後にKBSの『七日の王妃』です。先月31日から始まっている水木ドラマで、唯一、実在した人物が主人公になっています。朝鮮王朝時代の暴君、第10代王の燕山君(ヨンサングン)と腹違いの弟の中宗(チュンジョン)、中宗の第一夫人の端敬(タンギョン)王后が主人公です。ドラマは、激しい政争の中で、たった7日間、王妃の座についていた端敬王后に注目し、彼女をめぐり燕山君と中宗が恋のライバルになるというフィクションの要素が盛り込まれています。

前に時代劇が衰退していることについてお話ししましたが、その原因として、時代劇は間接広告が難しいので、制作会社が製作費を調達しにくいからだと説明しました。それなのにフュージョン時代劇がこのようにつくられているのは、韓流ブームが背景にあります。韓国の伝統的な素材が海外の視聴者の関心を引くものであることに変わりはないからです。正統派の時代劇は歴史的な知識がある程度必要になりますが、ラブロマンスなどの普遍的なストーリーが入るフュージョン時代劇は、もっと気楽に楽しめるのです。実際、『猟奇的な彼女』は、日本や香港、台湾などアジア11か国に輸出され、北米や中南米ではインターネットで放送されているのだそうです。

さらに、この3作の舞台となっている朝鮮王朝時代は史料が豊富で、フュージョンでもそれだけストーリーに具体性を持たせることができるのが利点となっています。また、ストーリーは異なりますが、いずれもリーダーの資質や権力の属性など政治的なメッセージを表面化しているという共通点があります。前の大統領が罷免され、前倒しで大統領選挙を行うという、政治が大きな関心事に浮上した時期的な要因と関係があるという分析もあります。

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