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ライフスタイル

仁川空港の非正規職

#マル秘社会面 l 2017-05-17

玄海灘に立つ虹

仁川空港の非正規職
ムン大統領の任期が始まって1週間ですが、すでにいくつかの公約を実施しています。その中の一つ、こんな公約がありました。

共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は、公共部門の常時業務における間接雇用非正規職を正規職に切り替えると公約した。 2015年基準で約69000人にのぼる公共機関の間接雇用労働者に希望を持たせる公約だ。
そして大統領に就任するとすぐに12日に仁川国際空港を訪問しました。そして

「任期内に公共部門『非正規雇用ゼロ』時代を切り開く」
と宣言しました。するとこれに対して鄭日永(チョン・イルヨン)仁川空港公社社長は

「私が先頭に立ち、今年末までに1万人の関連会社従業員全員を正規雇用に切り替えたい」
と述べました。すごいですよね。まさに大統領の鶴の一声でした。では仁川空港がなぜこのように注目されるのか。仁川空港には非正規職が去年10月末基準で6831人おり、これは全職員の84.2%、空港職員の5人に4人は非正規職だということです。清掃・施設管理はもちろん、空港庁舍をパトロールする特殊警備員も、チェックイン後入国場に入る時に検査をする職員も、手荷物を飛行機まで運ぶシステムを管理する職員も、航空機で救急患者や火事が発生した時出動する消防隊員も皆、非正規職です。この非正規職の数は今年末に第2旅客ターミナルが開港すれば 1万人に迫ることになります。
服装や装備、仕事の内容まで消防公務員とまったく同じでも身分は間接雇用の非正規職である空港消防隊応急救助士の男性は非正規職としての苦労と問題点をこんな風に話しています

「MERSの時は本当に殺伐としていました。空港検疫所や空港公社と有機的な協力作業が必要なのに委託会社所属なので直接疎通することができず、報告と許可を経る段階が多いため対応も遅れざるを得ませんでした」
そんな仁川空港、大統領の訪問で非正規職の1万人を正規雇用にということになったのですが、どうも問題はそんなに簡単には解決しそうにありません。
仁川空港は今年になって清掃・案内ロボットの試験導入を開始、2022年までに保安・警備業務などを担当するロボットも導入して人材を削減する方針でした。仁川空港が開港から3年で黒字転換できたのは「外部委託」を中心とする運営も一役買っていました。ただし、保安・安全・技術関連分野まで外部委託したことから、技術と経験の蓄積不足や従業員の士気低下につながったとの指摘もありました。空港業界の関係者は

「外部委託業務では、今後ロボットやIT機器などに切り替えることも多いが、『すべての非正規雇用従業員を、定年までの雇用を保証する正規雇用化する』というのは、数年後の空港経営に大きな問題を招くかもしれない」
と空港経営面からの問題を指摘しています。そしてもう一つこんな指摘も出ています。大統領の仁川空港訪問後、空港会社側はこんな動きをしました。まず爆発物処理班の協力業者の職員14人から正規職への転換を始めましたが、空港側からは長い人ではこの分野で15年以上働いている人に対して、これまでのキャリアを全然認めずに新規採用の競争をさせるという方針が示されたのです。また合格してもその職位は一般事務職の高卒入社5年ほどの社員と同じだというのです。これに対して非正規職員からは

「今、経歴10年ほどで年間4000万ウォンほどもらっています。それが正規職になると2800万ウォンだというのです。年棒は1000万ウォン近くカットされ、さらに職位もB級での採用だというのはやはり不公平です」
これに対して空港側は2800万ウォンは基本給で、それに成果給、手当てなどがつけば現在の年棒が維持されると説明しています。
大統領が訪問しただけで、それまで今後はロボットを導入して人員削減すると言っていたのが1万人を正規職にすると話が180度変わるという点、そして正規職にすると言ってはいるもののどうも中身はそんなに甘いものではないという点、疑問だらけです。仁川空港に関しては今後も注目していきたいと思います。

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