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地空居士
地空居士( 지공거사、チクウコジ)、日本語で読むとなんだか誰かの戒名のようですが、韓国では地下鉄に無料乗車できる65歳以上のお年寄りのことをこう呼んでいます。韓国では1984年から65歳以上の人は地下鉄の乗車賃が無料になりました。

しかし最近、65歳を過ぎても自分は地空居士になるのは嫌だと、お金を払って乗車している人が増えています。今年2月に満65歳になったという男性は

「65歳を過ぎると地下鉄に無料で乗れるという政策はありがたいが、今や地下鉄の赤字の重要要因になっているという話を聞くたびに何か申し訳ない気がしていました。特に料金が他の地下鉄よりも高い新盆唐線で無料の乗客が一般の乗客よりも多いという話を聞くと、これは何かおかしいという気がしていました。それで経済的に余裕があれば無料で乗らなくても良いのではないかと考え、乗車賃払っています」

と言っています。キム・ファンシク元首相も65歳が過ぎても乗車賃を払っている一人です。

「地下鉄に無料で乗れるカード自体をまだ作っていません。経済的に余裕のある知人たちに金を出して地下鉄に乗ろうと機会のあるたびに話していますが、最近は賛同する人も増えています」

また老人関連団体は老人の基準を引き上げる案を出しています。大韓老人会ではこれまでの老人年齢65歳を70歳に引き上げようと提案しています。

実際に韓国の老人人口は2008年の10.2%から今年は13.7%と急増しています。統計庁の予測によれば2045年には人口の35.6%、1818万人が老人人口になると言います。

現在でも地下鉄の赤字の主要要因になっていると言われる老人の無料乗車制度。その歴史を見て見ますと、最初は1980年に70歳以上の乗車賃が50%割引になるところから始まりました。それが1982年に65歳以上に年齢が下げられ、1984年から65歳以上完全無料となりました。現在は65歳以上の高齢者のほかに国家有効者、障害者、そして5.18光州民主化運動の有効者まで無料となっています。

本当にこんなに無料だらけでは地下鉄も大変だろうとは思いますが、それでもこの制度は大切だと社会福祉の専門家は言います。延世大学社会福祉学科の教授は

「地下鉄を利用する老人たちはほとんどが低所得層です。地下鉄の無料乗車がこのようなお年寄りたちに物質的でありながら、精神的な福祉ともなっているので今後もこのまま維持されるべきです」

確かにお金持ちのお年寄りは地下鉄など利用しなくても自分で車を運転したり、あるいは運転手付きで出歩くことができます。そういう余裕がない人にとって地下鉄は欠かせない交通手段です。

では実際の利用者中、無料乗車している人の割合はどのくらいか。地下鉄のある地方ごとの割合を見て見ますと、全国的には光州が一番多く全体の31.8%が無料乗車です。そして釜山が26.5%、大邱が25%となっています。ソウルは一番少なくて13.8%です。

確かに地下鉄利用者の3人に1人、あるいは4人に1人が無料乗車だというのは信じられない数字だと思います。福祉重視のムン大統領にとっても、この福祉と財政の問題、その舵取りが難しそうです。

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