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ムン大統領の脱原発宣言

#マル秘社会面 l 2017-06-21

玄海灘に立つ虹

ムン大統領の脱原発宣言
韓国に新しい大統領が誕生し、その政策が大きな注目を浴びていますが、THAADの配備や慰安婦問題に負けないくらい日本のマスコミからも注目されたのが脱原発宣言でした。

文在寅大統領は釜山市で開かれた古里原発1号機の運転終了を記念する式典であいさつし、

「古里原発1号機の運転終了は脱原発に向けた出発点だ。原発の新規建設計画を白紙化し、設計寿命が尽きた原発については寿命を延長しない」

と述べました。環境運動、市民運動に関心の大きい大統領らしい政策であり宣言だと言えます。しかし今回の脱原発宣言、大統領の発言を問題視する声も国内外で多数でています。

まず今回の脱原発の理由として大統領は最近の慶州地震に見られるように、韓国はもはや地震の安全地帯ではないことから、脱原発すべきだと主張しました。これに対しソウル大学原子核工学科の黄一淳(ファン・イルスン)教授は

「韓国が地震の安全地帯ではないという点は事実だが、昨年の慶州地震はマグニチュード5.8で韓国の原発の耐震設計範囲に収まっている」

と言っています。さらに「福島原発の事故で2016年3月現在、1368人が死亡した」と言及したことをめぐっても、誤解される面があるという指摘が韓国の新聞、日本の新聞の両方から出ています。「1368人死亡」は、昨年3月6日の東京新聞による報道だといいますが、ソウル大学の朱漢奎(チュ・ハンギュ)教授は

「記事に出てきた死者の95.5%は、避難後にストレスで健康が悪化した60歳以上の人物で、67%は80歳以上の高齢者だった。福島の原発事故現場において、放射線被ばくによって死亡した人は一人もいない」

と言っています。また脱原発と関連した解体の費用負担、電気代の値上げなどに関しても疑問の声が上がっています。まず解体については

解体は▼解体計画書の作成・承認▼使用済み核燃料の冷却・搬出▼施設の本格解体▼用地の復元――という4段階で進められる。
解体完了の時期は2032年12月と見込まれている。解体にかかる予想費用は6437億ウォン(約631億円)で、作業は韓国企業が手掛ける予定だ。


また電気料金の問題については専門家の間から

「再生可能エネルギー・LNG発電の比率を拡大すれば費用がより多くかかるため、電気料金引き上げに対する社会的な合意が必要だ」

という指摘もでています。大統領は脱原発宣言に際してこんなことも言っています。

「原発は開発途上国の時期に選択したエネルギー政策であり、古里原発1号機の永久停止は、脱核国家への第一歩です」

韓国では、19日未明に永久停止した古里1号機を除くと原発24基が稼働しているほか、さらに6基が建設中、4基が建設に向けた準備中でした。この準備中だった4基をまず完全に白紙化するということです。

すべての政策は発表することから始まるでしょうし、今回の脱原発はムン大統領の公約の一つでもありました。しかしこれから先、今回永久停止した古里1号機だけでも解体には15年かかる計算になります。果たして任期5年の大統領、この政策が次の政権でも引き継がれるのか、また途中で方向転換することになるのではないのか、不安です。

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