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ピープル

フィギュア・アーティスト、クールレインことイ・チャヌ

2016-06-14

若者の街として知られるソウルの弘益(ホンイク)大学界わいにあるKT&G想像の広場では、毎週土曜日、アートトイ・クラスが開設されています。人間や動物、キャラクターなどに似せて造る人形=フィギュアを作るアートトイ・クラスは若い人たちを中心に人気が高く、毎週、大勢の人が参加しています。

子供のような感性や好みを持った大人という意味のキダルト。キダルトはキッズとアダルトを合成した造語です。一見、ただのおもちゃに見えるフィギュアは、このキダルトを中心にマニア層を形成していて、オークションに登場するほど、その価値が高まっています。フィギュアをデザインし、作っていく作業はかなり繊細で難しく、専門的なフィギュア・アーティストは世界的にもあまり多くいません。ところが、韓国には世界的にその実力を認められているフィギュア・アーティストがいます。想像の広場でアートトイ・クラスを進めているクールレインこと、イ・チャヌさんです。



イ・チャヌさんがフィギュア・アートの世界に飛び込んだのは2004年のことでした。韓国はもちろん、世界的にも珍しかったフィギュア・アートの世界に入門し、韓国のフィギュア・アートの開拓者として活動してきたイ・チャヌさん。努力の甲斐あって、今ではアメリカのプロバスケットボールNBAをはじめ、ナイキなど世界的なスポーツブランドとのコラボを進めるほど、その実力を認められています。

大学で化学を専攻していたイ・チャヌさんは日本のアニメ「AKIRA」を見て、いつか「AKIRA」のようなアニメを作りたいと決心しました。大学を卒業し、28歳になった年に、彼はソウルに上京してアニメ制作学院に通いはじめます。しかし、化学を専攻したイ・チャヌさんにとって、絵を習うことは難しく、思うようにいきませんでした。一旦、3Dアニメを制作する会社に入った彼は、3、4年間、働きながら3Dアニメについてマスターし、短編アニメを作るほどの実力をつけることができました。ところが、当時はまだ3Dアニメに対する認識が薄く、イ・チャヌさんが勤めていた会社は倒産してしまいます。会社が倒産したあと、ティム・バートン監督の「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を見たイ・チャヌさんは「AKIRA」以上の衝撃と感動を受けました。クレイ・アニメーションの魅力にはまって、仕事のない時はいつもアートブックを開いて、その材料について考え、映画の制作過程を撮影した写真を見ながらクレイアニメを作ってみたいと思うようになりました。



時間が経ち、フィギュアの材料などについて把握したイ・チャヌさん。2004年からは、映画に登場するキャラクターや有名なフィギュア・アーティストの作品を真似て作ってみるようになりました。2004年から3年間、イ・チャヌさんはフィギュア作りに没頭し、100個あまりのフィギュアを完成させました。イ・チャヌさんは毎日の制作過程をブログに載せていました。フィギュア制作に関心を持った人に回り道をさせないための気配りでした。中には、ブログに載せたフィギュアを買いたいという人もいました。しかし、イ・チャヌさんは他人の作品を真似たフィギュアは自分のものではないという気持ちからオリジナルのフィギュアを作るまで待ってほしいと断りました。そして2007年、ついに、クールレイン、イ・チャヌさんのフィギュアが誕生します。



2007年、イ・チャヌさんは韓国のビーボーイをモチーフにしたフィギュアを制作しました。最初のオリジナル・フィギュアを発表して間もなく、世界的なスポーツブランド、ナイキから、新作のシューズをクールレイン、イ・チャヌさんのフィギュアに履かせて展示したいという連絡が入ります。スポーツブランド、ナイキとのコラボを通じてフィギュア・アーティスト、イ・チャヌさんは世界的に知られるようになりました。2010年にはアメリカのプロバスケットボールNBAの依頼で世界的な選手たちのフィギュアを制作しています。

クールレインこと、イ・チャヌさんにとってフィギュア制作は単なる職業ではありません。頭の中で想像していた人物やものをフィギュアに作り出すのが楽しく、自分の作品を見て喜んでくれる人を見るのが幸せなのです。そして、いつか、自分のフィギュアでアニメーションを制作する日を目指して今日も頑張っています。

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