ソウル大学の黄禹錫教授が記者会見して、研究成果の中にねつ造された細胞が含まれているのではないかという疑惑について、「一部に手違いがあったもののES細胞そのものは作った」と述べて、これまでの疑惑を否定するとともに、サイエンスの論文に載っているES細胞の写真はソウルの産婦人科病院が保管しているES細胞にすりかえられたとして、当局の捜査を要請しました。黄禹錫教授は16日午後、ソウル大学で記者会見し、11人の患者の皮膚細胞からクローン技術でES細胞を作ったこと全体が疑われていることについて、「サイエンス論文に掲載したとおり、確かに11のES細胞を作った。ただ今年の初め頃、6つのES細胞をカビなどによる汚染で死なせてしまい、これは政府にも報告した。しかし死なせた6つのES細胞のうち、共同研究しているソウルの産婦人科病院で同じものを2つ保管していたため、これをソウル大学に戻し、その後、新たに6つのES細胞を作って、これをもとに、サイエンスに論文を発表した。それからさらにES細胞3つを新たに作っている。現在、冷凍保存している5個のES細胞を検証のため解凍・培養しており、それには10日ほどかかるが、必ず立証してみせる」と述べました。そしてサイエンスの論文に違う写真が掲載されたことについては、「ソウルの産婦人科病院が保管しているES細胞の写真にすりかえられたのではないかと思う。これはソウル大学の研究室と産婦人科病院の研究室を自由に出入りできる人しかできないことなので、当局に捜査を要請する」と述べました。さらに「サイエンス」に掲載した論文については、「データの写真にミスがあった」として、「共同研究者の許可を得て、論文を自ら撤回する」と述べました。