ソウル大学の黄禹錫教授が作ったとされるES細胞は、すべてヒトクローン胚から作ったES細胞でないことがわかりました。この問題を調査しているソウル大学調査委員会のノ・ジョンヘ研究処長は、29日午前、記者会見して、これまでの調査結果を明らかにしました。それによりますと、今年5月、アメリカの科学雑誌「サイエンス」に発表したヒトクローン胚でES細胞11個を作り、このうち9個は写真で水増ししたことがこれまでに明らかになっていましたが、残りの2個のES細胞が本物であるかどうか、3つの外部機関に依頼して、卵子を提供した患者とDNAが合うがどうか検査しました。その結果、3つの機関ともDNAは一致しないこと、ヒトクローン胚から作製したES細胞ではなく、受精卵から作ったES細胞で、共同研究をしていたソウルの産婦人科病院、ミズメディ病院から持ってきたものであることがわかりました。また研究室にあった8個のES細胞についても、同じような検査をした結果、患者の細胞とDNAが一致せず、いずれもミズメディ病院から持ってきた受精卵からつくったES細胞であることが確認されました。調査委員会では、黄教授の研究室にはES細胞を作ったことを立証する科学的データをみつけることができなかったとしています。発表したノ・ジョンヘ処長は、マスコミや世間の関心が高いので、とりあえずこれまでわかったことを明らかにしたと話しており、クローン犬とされる犬の親子についての検査結果は来年になるとしています。