ソウル大学獣医学部の李柄千(イ・ビョンチョン)教授の研究チームがクローンオオカミをつくったとする論文が正確かどうかを調査していたソウル大学の「研究真実性委員会」は、27日、調査の結果を発表し、「初歩的なミスはあったものの、重大な誤りはなかった」という見解を明らかにしました。
李柄千教授の研究チームは、ソウル大公園にいるハイイロオオカミの耳から採取した体細胞の核を除去した後、犬の卵子に移植して、受精させた卵子を代理母の犬の子宮に着床させる方法で、クローンオオカミをつくったとする論文をこのほど発表しましたが、生まれたオオカミと代理母の犬の遺伝子の塩基序列に過りがあるという指摘を受け、この委員会が調査を行っていたものです。
委員会は、「生まれたオオカミと代理母の犬の遺伝子の塩基序列が違っていたのは、データを明らかにする過程で表記を誤ったからで、研究結果を故意に操作しようとしたものではない」としたうえで、「実験記録やデータの保存などがきちんと行われていなかった」と述べ、ねつ造ではなく単純なミスだったという調査結果を明らかにしました。
委員会は、誤った結果を発表し、広く知らせた行為も故意の操作や盗作などと同様に、真実をねじまげる行為だとして、大学内部で論文に対する検証を強化する対策を話し合っていくことにしています。
ソウル大学は、2005年に黄禹錫(ファン・ウソク)元教授の論文のねつ造が明らかになった後、さまざまな対策を講じていましたが、今回再びこのような事態になったことを受けて、この委員会は大学側に李柄千教授への懲戒や再発防止など適切な措置を取るよう勧告しました。